やりすぎ☆若゙キンマン〜ヒカルたん純情系〜 11 - 12
(11)
若゙キンマンの頭の中には、分身の言っていた言葉が駆け巡っていた。
ヒカルたんのことを自分の野望達成の捨て駒としか思っていなかった若゙キンマンは、残酷
なまでにヒカルたんに激しいプレイを迫った。
当然のようにヒカルたんは嫌がって泣き叫ぶ。それを言葉巧みに騙しながら無理やり押さ
えつける快感は、若゙キンマンの征服欲を満たした。だが同時にヒカルたんの中に眠る淫乱
の花々も次々と芽を出した。開花し続けるヒカルたんに若゙キンマンの征服欲は更に次なる
高みを求めるようになり、いつしかその行為は止まらなくなった。
それをヒカルたんは愛と勘違いして、純粋なまでに若゙キンマンを受け入れる。
愛されることに慣れていない若゙キンマンは、無意識のうちにヒカルたんに惹かれつつあっ
たことを分身の言葉によって思い知らされた。
だが大きな野望を心の内に秘めた悪の存在である若゙キンマンは、そんな想いを否定しよう
とわざと困難な注文をする。
けれどヒカルたんは言うとおりに服を脱ぎ始めた。
「いいよ。オレ頑張る。頑張るから…、だから嫌いにならないで」
涙ながらに許しを請うヒカルたんの健気な姿に、若゙キンマンは一瞬と惑ったが、抱きしめ
ずにはいられなかった。
「ボクの方こそ悪かった。…とりあえず風呂に入ろう。汚れたところキレイにしないと」
若゙キンマンは再びヒカルたんを抱き上げた。
「汚ないなんて言うなよ。だってこれは、おまえがオレのことを愛してくれた証拠だろ」
ヒカルたんは照れながらそう言った。
愛などなくてもそれができるとも知らずに、無邪気に笑いながら…。
(12)
入り口のドア越しに2人の様子を盗み見ていたトーマスは、悔しくて悔しくて涙が止まら
なかった。
若゙キンマンがここに来てからというもの、ヒカルたんにべったりと付きまとっているため、
最近ではほとんど話すこともなくなった。
ヒカルたんが若゙キンマンをここへ呼ぶと言ったときは冗談だと思っていたが、2人の仲睦
まじい姿を毎日のように見せ付けられると、自分はもうあきらめるしかないのだと思うし
かなかった。
そんな時トーマスは、若゙キンマンの城のヒカルたんの間へ行く。だがそこへ行っても全て
が偽者のようで、どんなにヒカルたんの笑顔の写真を見ても、トーマスを更に悲しませる
ものばかりだった。
「なんでだ…」
トーマスは納得がいかなかった。
ヒカルたんが選んだ相手なら喜んで祝福すべきだが、若゙キンマンだけは許せなかった。
それはヒカルたんを見つめる目つきにあった。あれは愛情というよりも憎悪に近い。
このまま行けば、いつかヒカルたんが悲しむ気がしてならない。
それなのにヒカルたんは無条件で若゙キンマンを信じ、愛して続けている。
その純粋さがどこから来るのか、トーマスにはわからない。そしてそれが何故自分に向け
られなかったのか、神様を恨むくらい悔しくて仕方なくて、トーマスは毎日のように悔し
泣きするしかなかった。
「ちくしょーっ! 今に見てろよ、おかっぱ変態野郎ー!!」
トーマスはそうすることで、自分に活を入れた。
今日ものどかな町に、負け犬の遠吠えがこだました。
(おわり)
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