スノウ・ライト 11 - 13


(11)
コン、と軽くドアを叩かれました。
「王子、何を取り乱しているんだい? またヒカル姫か?」
なれなれしく話しかけてくるのは王子の御付き、オガタでありました。
アキラ王子はオガタには心を許していましたので、その口調をとがめることはしません。
どころか丁寧な言葉遣いで答えます。
「ヒカル姫の行方が未だにつかめないのです」
「焦ることはない。じきに答えは出るさ。王国の情報員たちは優秀だ」
けれどアキラ王子の表情は沈んだままです。
その顔を見ながらオガタはヒカル姫のことを思いました。
アキラ王子をも怖じ気づかせるヒカル姫。オガタはとても興味を持っていました。
そして一度だけ迫ったことがあったのです。

『俺にもヤらせろ!』

そのときは逃げられてしまいましたが、オガタが酔っていたある夜、ヒカル姫から誘いを
かけてきました。それは忘れられない夜となりました。
ヒカル姫のテクは見事でした。
オガタは攻め立てるつもりが逆に攻め立てられていました。
酔っていなかったら、決してあんなヘタな突っ込みかたはしなかったのに、と悔やまれて
なりません。リベンジをしたいのですが、王子の目を盗むのは至難の技です。
もしあの時のことがばれたら、王子は血相を変えて、いったいどんな内容だったのかと
聞いてくるに違いありません。そして嫉妬の炎をたぎらせることになるに決まっています。
オガタはヒカル姫との一夜は、自分の胸の中だけに収めておこうと思いました。
まだ物思いにふけっているアキラ王子の肩に手をおきました。
「大丈夫だ、アキラ王子。姫は必ず貴方のものになる。何を疑う必要があるんだ。
 王子ほどヒカル姫を想っている人が他にいるかい?」
「いません。でも姫はつかまえたと思っても、すぐに手の中をすり抜けていくのです。
 生涯の相手はヒカル姫だとボクは思っていますが、姫はどうなんでしょう?」
いつもの王子らしくなく、その声には覇気がありません。


(12)
まつげをふるわせるアキラ王子をオガタはよこしまな思いで見つめます。
2歳から父王に教えられているアキラ王子のテクは、まさに開花しようとしていました。
多くのテク高段者が王子の前に次々と敗れていっているのです。
久しぶりに味わってみるのもいいかもしれない、と思いながらオガタは王子の頬に手を
そえようとしました。ところがそこへ勢いよくアマノが入ってきました。
「王子! ヒカル姫は義母に殺されたという噂が隣国で流れています!」
「何だって!」
ガタッ、と王子は椅子を鳴らしました。
「そんな、そんな、殺された……? つまり、姫はもうこの世にいない……?」
倒れそうになる王子をオガタは支えます。
「アマノ、そんな不確かな情報で王子の心を惑わせないでくれ」
邪魔されたオガタは不機嫌で、思い切りアマノを睨みつけました。
「は、はいっ。申し訳ございません」
ふとオガタは思い出したように言いました。
「そう言えばネットで、とても愛らしい姫が七人の小人の小屋にいるとあるのを見たな」
とたんに王子は血相を変えました。
「なぜ黙っていたのです!」
「表に出てこない者に興味は持てん」
アキラ王子は歯を食いしばりました。そんな王子を見て、オガタは大きく息を吐きました。
「行ってみようか」
するとアキラ王子は顔を輝かせました。
王子はどこまでもヒカル姫しか見ていないのでありました。


(13)
第二部中篇が終了しました。ただいまより食事休憩をもうけます。
ラーメンをはじめ、高級寿司、回転寿司、ハンバーガー、カレーライス、ドーナツ、大福、
カステラ、鯛焼きとメニューは豊富にとりそろえております。
たっぷり時間をとりますので、みなさまゆっくりお召し上がりください。

ベルが鳴りましたら第二部後編が始まりますので、ご着席ください。



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