sai包囲網・緒方編 11 - 14
(11)
もう一度、半ば強引にヒカルの唇を塞ぎ、緒方は身じろぎする細い下
肢に唯一残った布の中へと手を入れた。先程のキスの余韻で、ヒカルの
ものも微かに勃ち上がり、脈打ってるのを感じる。先端から根本にかけ
てゆっくりと撫で上げるだけで、ヒカルの両方の太股は耐え切れないよ
うに震え出した。
「んっ、んー」
顔を左右に振って拘束から逃れようとするヒカルの肩を抱き締め、言
い聞かせるように耳元で囁く。
「力を抜いて、オレに身体を預けていろ。それだけでいい」
急に優しくなった緒方の声に、ヒカルは一瞬従うべきか迷い、憂い顔
の佐為と目を合わせてから、こくりと小さく頷いた。従順な態度を見せ
ておいて隙をついて逃げる。これくらいしか今のところ手がない。その
ためにはへたに暴れて殴られたり縛られたりするよりはマシだ。
「よし、いい子だ」
緒方先生、似合わねぇー。それとも女にはいつもこんなこと言ってん
のかな。動き出した緒方の手に、ぎゅっと目を閉じ、なるべく気を紛ら
わそうとする。胸元と下肢、どちらに這わされた手も殊更ゆっくりと動
いているが、確実にヒカルの感じるポイントを見つけ、追い上げられる。
シャワーに濡れた髪を撫でられ、耳たぶに唇が触れて、ヒカルは感覚が
麻痺しそうになった。
「はぁ、はぁ、ん」
「どうだ?」
「あっ、ん、気持ち、いい…」
「素直だな」
笑いを含んだ声と共に緒方の愛撫が激しくなり、ヒカルは目の前が真
っ白になるのを感じた。それでもまだ拘束は解けず、今度は軽く片脚を
持ち上げられ、後ろへと指が侵入してきた。
「何もしてないのに、もう柔らかくなってるな」
「はぁ、うぅ・・・」
「進藤、こっちでもいけそうじゃないか」
「やぁ・・・」
(12)
前で一度、後ろで一度。更に両方をまさぐられて、ヒカルは精を放っ
ていた。シャワーに流され、その痕跡は既になくなっていても、上り詰
めた感覚までは振り払うことができず、ぐったりと緒方の厚い胸に頭を
押し当てて、浅い息を繰り返していた。
「まだ音を上げるのは早いぞ」
「もぉ、やぁ・・・」
思えばアキラには戒められたまま達さないように攻められ、緒方には
反対に何度もイカされて攻められてる。イッたばかりの身体を嬲られる
のは、痛いのを通り越して苦しい。どちらにしても、過ぎる快感を持て
余したヒカルは緒方が早く飽きてくれることを願うばかりだった。
ふと鈍い物音がしたような気がして、芦原は目を覚ました。う゛ーと
唸りながら辺りを見回したが、隣の布団は使われないままで、緒方の姿
はどこにもない。また出て行ったのかなぁと呑気に考えてると、どすん
と何かがぶつかったような音が聞こえた。
「あー、緒方さん、風呂か」
にしては、何やら激しい入浴もあったもんだ。かなり飲んでたみたい
だし、ぶっ倒れてるんじゃないだろうなぁ。どうしよう。放っておくと
後々までぶちぶち言われそうだしな。
同門の兄弟子に対して優しくない感想を呟きながら、乱れた浴衣を直
しつつ浴室へと向かう。案の定、風呂には灯りがついてるようだ。それ
でも脱衣所は暗く、そこにヒカルの服が脱ぎ捨ててあることに気がつか
なかったのは、芦原にとっては幸運だった。
「緒方さーん、大丈夫ですか〜?」
「あぁ、すまない。起こしたか?大丈夫だ」
「倒れたりしてませんね?」
「もう少ししたら出るから」
「分かりました。湯冷めしないようにちゃんと拭いてから寝て下さいよ」
それだけ声をかけてまた恋しい布団へと戻る。
(13)
対して不運だったのは、ヒカルだ。助かる最後ともいえるチャンスを
逃しただけではなく、芦原がドアの向こうにいるというのに、その間も
声が漏れないように口を手で塞がれ、秘孔を二本の指で深く嬲られて、
快感と苦痛、天国と地獄を何度も行き来する感覚に襲われ続けていた。
「そろそろオレもイカせて貰おうか」
秘部に熱くなったものを押し当てられ、身を竦めた。
「緒方先生、そこだけはやめて・・・」
アキラに操を立てるというわけではなく、ただ、緒方の男根の大きさ
が恐ろしかった。アキラも同年代の少年にしては大きい方なのだろうが、
緒方とは長さも太さも違う。男を受け入れるのは初めてではないにして
も、そんなものを突っ込んで欲しくなかった。
「下がダメなら、上の口にするか」
涙混じりの訴えは少しは効果があったようだ。が、横目で見た緒方の
ものに弱音を吐きたくなる。
「そ、そんなもの銜えられないよ!」
「全部納めなくていい。棹だけ銜えて舐めてみろ」
嫌ならこっちに入れるだけだと、緒方の目が言っている。仕方なしに
こくこくと頷くと、やっと秘門からずるりと指が抜かれた。自分を苦し
めていた圧迫感がなくなり、ヒカルははぁと大きく息を吐く。もっとも
これから自分がしなければならないことを考えると、かなり気が滅入っ
てしまうのだが。
緒方に目で先を促され、渋々とタイルの床に膝をつき、こみ上げてく
るものを耐えながら、ひと思いにぱくりと銜えた。これは、大きなソー
セージ、ウィンナー、えーと、ホットドック。そう呪文のように唱えな
がら、舌先で舐めたり、口の中から出し入れをしてみる。
(14)
手も使うように言われて、自分でするのを思い出して、口の中に入り
きらない部分を握ってしごく。それでなくても大きいものが段々と堅さ
を増して、更に膨れ上がって来る。うぅー。苦い。とろとろと零れ続け
る精液にヒカルは顔を顰めた。何度か気管に入りそうになって、一度口
を離し、銜え直す。
「なかなかうまいじゃないか」
嬉しそうに笑う緒方はなかなか達してくれない。開いたままの顎は怠
いし、舌がつりそうになる。うまいって言うなら、早くイッてよー。
「緒方先生、もう顎が痛いよー」
「何だ、もう音を上げたのか?」
「これ以上やれって言うなら、思い切り噛むからね!」
「ふっ、仕方ないな。じゃあ、舌だけでやってみるか?」
緒方に指示されるままに、先端の鈴口の辺りを舌先でくすぐったり、
笠の裏側から幹の根元までを丹念に舐め、今度は先端に向けて幹の裏側
に舌を這わせた。それでも充分気持ちのいいものらしい。
「アキラ君にもしてあげたかい?」
意地悪な問いに、ヒカルはふるふると頭を左右に振った。
「じゃあ覚えていくといい。これで感じない男はいないからな」
そんなことしたら、どこでこんなことを覚えて来たんだー!?って塔矢
に怒鳴られるに決まってるじゃないか。願わくば、今の緒方先生は悪酔
いしてて、明日にはこんなことをすっかり忘れてますように。そう願わ
ずにはいられないヒカルだった。
End
|