悪代官−真夏の企み 11 - 15


(11)
「さ、後はこの帯を巻くだけだよ」
「う…うん」
黄色い帯を手に取り、進藤の身体を回しながら巻き付ける。その時の進藤がされるがまま
に回る姿が、昨日の時代劇の遊女と被った。−いや、今は脱がせているのではない。着せ
ているのだが。まるでビデオを巻き戻ししているみたいだな…。
あとは進藤が「やめてぇ〜お代官様ぁ〜」とでも言ってくれれば嬉しいが。
…まあ代官ゴッコは後のお楽しみという事で。

「はい、終わり」
軽く進藤のお尻を叩き、終了の合図とした。ボクは改めて進藤の浴衣姿を上から下まで眺
めてみる。ああ…やっぱり進藤、本当に可愛いよ…!
女の子みたいに撫で肩で肩幅が狭いから、浴衣のラインがとても綺麗だ。小振りだけどキ
ュッと上がったお尻のラインも可愛らしい。足元から微かに覗く踝から足先までも真っ白
で、思わずサワサワ触りたくなる。よく赤は男を惑わす色だとか言われているが、その理
由が初めて分かった。進藤のこの半端じゃない可愛さや色っぽさ。ただでさえ浴衣という
物は何処か情欲的ではあるが、駄目押しとも言える赤なんか羽織るからもうヤバイ…。
身体全身で「襲ってください」と言っているようなものだ。祭りに行ったら変な奴らから
しっかりと守らないとな。そう、それこそ裸で渋谷のセンター街をうろつくより危険な気がする。
「進藤、待っててくれる?ボクちょっとトイレ…。」
進藤を部屋に残し、ボクは急いでトイレに駆け込む。もちろん一発抜くためだが、あれ以
上あの場所に二人きりではボクの理性が再びグッバイしてしまうからという理由もあったり…。
「んッ…しんっ…どう…はぁ…っ!!」
手の平の白濁を洗面所で洗い流し、ボクと進藤は八王子へと出発した。


(12)
「な、なんか人多いな…みんなお祭りに行くのかな?」
中央線に乗り込んだボクと進藤。日曜だと言うのにやたら混んでいる。それはやはり祭の
せいなのだろうが、まるで通勤ラッシュの如く混みまくっていた。ボク達はドアと手摺り
の角になんとか立っていたのだが、電車が揺れる度に背中に人がのしかかって来る。
それが堪らなく欝陶しく、不快である。
…でも。
「なあなあ、返事しろよ塔矢ぁ!みんなお祭りに行くのか?なあ?なあ?」
「うん、多分…」
ボクは進藤を庇うように手を彼の頭の両脇の壁に突いていたので、かなり間近に進藤の身
体があった。その上電車が揺れる度に進藤の身体に完全に密着するのだ。正に背中は地獄
、正面は天国。甘い花のように香る進藤の体臭や髪の匂いがボクを誘惑するのには困るの
だが、それでも。我慢が大きければ大きい程、後の喜びは大きい筈だ。夢の代官ゴッコを
成し遂げる為にも、ここはキスだけで我慢しよう。幸いもう立川を過ぎたし、もう着くの
も時間の問題だ。ボクは進藤の頭を支え、そっと顔を近づけた。


(13)
「え……?」
「進藤、好きだよ」
ピンク色の柔らかい唇に自分のそれを押し付ける。何度味わっても飽きという物を知らな
いこの感覚は、まるで麻薬のようだと思う。んっ、んっ、と進藤は首を微かに左右に振り拒
むそぶりを見せるのだが、そんな仕種がまた可愛い。人前で、それも満員電車の中でこん
なコトをされるとは思いも寄らなかったみたいだな。まだまだ甘いね進藤…。男はみんな
狼なんだよ?いつ何処で豹変するか分からないんだ、気を付けてよ?
ボク以外のヤシ達には指一本触れさせないように…ね。
「んんッ…ふぁ…ふ…ぅ…」
お互いの舌を強引に絡めさせ、唾液を流し込んだ。反対に進藤の口の中をちゅうっと吸い
、隅々まで舐め回す。周りの視線は実は痛いくらいに感じてはいたのだが、もうこれは止
められない。ボクは八王子に着く迄ずっと進藤の口内を貧り続けた。


(14)
『八王子〜八王子です。八高線と横浜線の方はお乗り換えでどうたらこうたら…』

進藤の腰に手をやり、ボク達は改札を出た。もうそこはお祭り一色と言った感じで、興味
のなかったボクでさえも何かワクワクとさせられる。不意に進藤を見てみると、顔を真っ
赤にして何やらハァハァと苦しそうだ。どうしたんだ…?
「進藤?どうしたの?」
「んっ……」
「進藤?」
「だって…さっき電車の中で、あんな事…するから…!」
ああ…怒ってるのか。そりゃまあそうだな。ボクが進藤の立場ならキレてるだろう。
「ごめん、浴衣姿のキミがあまりに可愛いものだから…」
「しかも…まだ浴衣の中がなんかスースーして気持ち悪いんだよ…!
嘘つき!渇かないじゃん!お陰で服に擦れてっ…」
ハッとした様子で、進藤は口をパクパクさせている。服に擦れて、何だ…?
あ…、もしかして…進藤…キミは…!!
「進藤、感じちゃってたの?」
「!!!」
あ〜あ、顔を真っ赤にしちゃって…図星だな。
何でこんなに分かりやすいんだろう進藤って…。本当に可愛過ぎるよ。


(15)
「へぇ…やっぱり」
「ちっちがっ…だってパンツ履かなかったら誰だって気持ち悪いじゃん!
お前は平気なのかよ!」
「ああ、問題無いよ?キミみたいにスケベじゃないからね」
本当はキミ以外の人間はみんなパンツ履いてるんだけど。ボクの事、一切疑ってないみたい…。
「スッスケベなのはお前じゃん!さっきもキスしてきたり家でもあんな事してきたり!」
「あれは男なら誰でもする事さ。でも下着を履かないからって感じたりはしないよ?」
「なっ…イジワル…!」
目元に少し潤んだものが溜まっている。ああっ泣きそう!?やばい!さすがにこんな所で
泣かれては困ってしまう!ここは食べ物で宥めないと!
「わ、悪かったよ進藤!ヤキソバ奢ってあげるから許して?」
「……うん」
ええっ!?単純…進藤って単純…!こんなあっさり許して貰えるなんて。可愛いなあ本当。
「大丈夫、服が擦れるのもすぐに慣れるよ。
どうしても辛かったらその時はボクがどうにかしてあげるから。」



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