初摘み 11 - 15
(11)
アキラの舌が、口の中に滑り込んできた。苦しくて、息が出来ない。そこから、逃げようと
藻掻いた。その時、アキラの手がヒカルの太股を撫で上げた。掠めるように触れたかと
思えば、優しく揉みしだいた。ヒカルの抵抗が一瞬止まった。背中を駆け抜けるような
感覚に、息が詰まった。
漸く長いキスから、解放され、ヒカルは酸素を求める金魚のように口をパクパクさせた。
苦しい。それなのにアキラは口元に笑みさえ浮かべて、自分を見ている。涙が滲んできた。
灯りだって消してくれない。こんなに頼んでいるのに……ヒカルはアキラを恨めしげに
睨み付けた。
「消したら、キミの顔が見えないだろ?」
ヒカルの額にかかる前髪を梳きながら、アキラが言った。
「すごく…可愛い…」
再び口づけをされた。今度は、すぐに離れた。その唇が喉に吸い付いてきた。そのまま
鎖骨を通って、胸に辿り着いた。
「あぁ…!」
ヒカルが小さく喘いだ。アキラの手が胸をまさぐる。唇と手で両方の乳首を嬲られて、
ヒカルは身悶えた。そんなところが気持ちイイなんて…。
「やぁ…やだ…」
(12)
舌で舐めあげられた先端が、徐々に形を露わにしていく。そこを強く吸い上げる。と、
同時にもう片方を指先で摘んで捏ねる。
「はぁ…あぁん…」
ヒカルの甘い声に煽られて、アキラはますます強く吸った。ヒカルの嬌声が一際高く上がった。
手での愛撫を続けながら、アキラはヒカルを盗み見た。ヒカルの頬は上気し、瞳は潤んでいた。愛らしい唇からは、絶えることなく甘い声が紡がれた。
胸への刺激に弱いようだ。ヒカル本人もおそらく知らなかったことだろう。
「あ、あ、はぁぅ…」
ヒカルが、胸を責めるアキラの頭を掻き抱いてきた。舌でつついたり、甘噛みしたりする
その刺激に耐えられなくなってきたらしい。
アキラが、そっと手をヒカルの下半身へ這わせた。布越しに触れると、ヒカルの身体が
大きく震えた。
「あ…!ダメだ…塔矢…!」
そのまま下着の中へ手を差し入れて、ヒカル自身を遠慮なく握った。
アキラを引き離そうとするヒカルの乳首を思い切り吸った。
「ひゃあ…やだ…やだよぉ…さわんな……んんん…」
アキラが弄る前から、ヒカルのペニスは堅く勃ち上がり始めていた。
『進藤って、自分でしたことあるのかな……』
ふと、そんなことを考えた。必死で太股を合わせようと身体を捩っているヒカルを見ると、
その経験すらないような気がする。
(13)
アキラの容赦ない愛撫に、ヒカルは翻弄されていた。ヒカルの目からは大粒の涙が零れている。
「はぁ、あ、あ……やだぁ…」
逃げようとする細い腰を抱きしめ、ヒカル自身を強く扱き上げる。ヒカルは、堪えきれず
短い悲鳴を上げて、下着の中に放ってしまった。
荒い息を吐くヒカルの下半身に手を掛けた。ヒカルは、先程のように抵抗しなかった。
ことさらゆっくりとした動作で下着を取り去る。手についた精液をそれでふき取った。
アキラは、腕の辺りに止まったままのパジャマを脱がせ、ヒカルを完全に裸にした。
そして、自分も同じように全て脱ぎ去った。
ヒカルは、まだ唇を震わせ涙を流し続けている。よほど、ショックだったのだろう。
経験したことのない快感がヒカルを支配していた。
アキラは、枕の下に隠して置いた小さな入れ物を取りだした。中身を指先にたっぷりつける。
そして、咽び泣いているヒカルの両足を持ち上げて、自分の肩に乗せた。
「う…うぅぅ…」
ヒカルが呻いた。大きな瞳でアキラを見ている。そこには、まだ涙が溜まっていた。
濡れている睫毛に唇を寄せた。
「もう少し…もう少し我慢して…ね?」
ヒカルは素直に頷いた。だが、それは、アキラの言葉に反射的に頷いただけで、その意味を
理解しているようには見えなかった。
(14)
ヒカルは頷いたことをすぐに後悔した。アキラが自分の後門に指を差し入れてきたからだ。
「ひっ!」
どうしてそんなところに、指を入れられるのかわからなかった。アキラの指が抜き差しを
始めたとき、その理由に朧気ながら気がついた。
「い…痛…!や…やだ!やだ!やだぁ――――――!!」
アキラから逃れようと、必死で暴れた。だが、足を持ち上げられた状態では何も出来なかった。
アキラがヒカルの胸を押さえるように、身体を傾けた。
「ダメだよ…こうしておかないと…」
アキラはそう言って、ヒカルの中にもう一本指を入れた。
―――――塔矢は酷い!!
ヒカルはギュッと目を瞑った。自分の姿を考えるだけで、死にたいくらい恥ずかしかった。
素っ裸にされて、足を大きく広げ、後ろに指を入れられて………。自分は、こんなに
痛くて怖い思いをしているのに……。おまけに、いくら頼んでも電気を消してくれない。
「あ、あ、あ、いやだ…」
ヒカルは、また泣いてしまった。それでも、アキラはヒカルを放してはくれなかった。
捻りこむように、指を奥の方に入れられたとき、奇妙な感覚が走った。アキラも、ヒカルの
反応に気がついたのか同じ所を何度もさすった。ヒカル自身が再び勃ち上がり始めた。
「や、や、はあ、あぁ!」
ヒカルは、堪えきれずに悲鳴をあげた。
(15)
突然、アキラがヒカルから指を引き抜いた。ヒカルは、安堵した。まだ、身体に痺れるような
快感が残っている。ヒカルのペニスは再び熱を持っていたが、あのまま続けられたら、
頭がおかしくなってしまいそうだった。ヒカルにとっては、そっちの方が怖かった。
だが、安心できたのは、ほんの僅かな間のことだった。ヒカルの太股を大きく左右に割り開き、
アキラが、もっと堅くて熱いモノを押しつけてきたからだ。ヒカルの身体は、緊張した。
すぐにアキラの意図がわかった。
「イヤだ…怖いよ…」
アキラに泣いて懇願した。何度も何度もイヤだと言った。アキラがヒカルの頭を撫でた。
「力抜いて…進藤…」
その言葉を聞いて、ますます硬直した。アキラは止めてくれるつもりはないのだ。
長い睫毛を涙に濡らすその瞳に、アキラが小さく溜息を吐いた。そして、全身を
強張らせているヒカルの胸に唇を落とす。
「あ……」
弱いところを責められて、力が抜けた。甘い声が唇から漏れる。
「くぅん…」
子犬のような吐息が鼻から抜けた。
すかさずアキラが、ヒカルの身体に覆い被さってきた。片手で腰をすくい上げ、
身体を密着させる。
「や、あああああ――――――――!!!」
身体を引き裂かれるような激痛が走った。
|