研究会 11 - 15
(11)
和谷の指が、秘所の入り口をゆっくり、やわやわと揉み解す。
ヒカルに負担が掛からないように、そっとやさくし抱いてやりたかった。
ヒカルは息を殺すようにして大人しく和谷の行為を受け入れている。
その蕾はひくひくと動き、まるでその後の行為を期待しているかのようだった。
入り口は十分解れただろうと、和谷はヒカルが放った精液を指で掬い取り、
ヒカルの蕾に塗り込んでいった。潤いが与えられ、指の挿入が容易くなったのを
確認すると、和谷はゆっくりとヒカルの内部に指を抜き差し始めた。
「っあ…!」
異物が入り込む違和感に思わず声があがる。
しかし、痛いわけではなさそうだった。
「1本は余裕みたいだな」
和谷は乾いた己の唇を舌で湿らせながら言った。
円を描くように第二関節の辺りまで挿入しては抜く行為をしばらく繰り返した。
「あ…う…」
ヒカルの口から呻き声のようなものが漏れる。
さらにクイクイと入り口付近の内壁に指を擦り付けるように弄る。
そうしながら和谷はあることに気づいた。
さっきから気になっていたことだ。
「進藤…もしかして、お前初めてじゃない…?」
「!!」
その瞬間、ヒカルの身体に劇的な変化が生じた。
顔はおろか身体全体が瞬く間に朱に染まり、痺れるように震えた。
思い出してしまったのだ。
つい先日の、彼との行為を。
それだけでヒカルの身体は否が応にも興奮した。
(12)
初めて抱かれたのは、まだ肌寒い春先のことだった。
もう3ヶ月以上まともに会話していなかった。
なりゆき上、もう会わないと言ったも同然だったから、当然話す機会なんてない。
それがあの日、彼――塔矢アキラが急に声を掛けてきたのだ。
北斗杯の代表になるまではアキラとは打たないと心に決めていたのに、
家で打つなら煩いギャラリーもいなくてゆっくり検討ができるからと言われ、
なりゆきでアキラの家で打つことになってしまった。
そしてそこでそのままそういうことになってしまったのである…。
その後、まだ数えるほどだが、彼の家に遊びに行くと必ず抱かれた。
それがわかってて遊びに行く自分もどうかしている。
ヒカルには自分で自分の気持ちがよくわからなかった。
でも…アキラがやさしく自分を抱いてくれるのは好きだった。
幸せで熱くて狂おしくて、その時ばかりは何もかも忘れて身を委ねられた。
アキラは何も言わない。
好きだとか愛してるとか、そんな言葉はひと言もない。
ただ、他に代わるものがないほど、お互がお互いを必要としていることだけは確かだった。
アキラの白い指先を思い出す。
自分の体内を這いまわるように犯す指先。
その甘い記憶にヒカルの身体は痺れるように熱くなった。
(13)
「あぁ…ん…あん……ぁっ…」
たまらなく甘い嬌声をあげつつ、ヒカルの内壁はきゅうと和谷の指を締め付け始めた。
「すげ……」
その良さに和谷は感嘆の声をあげる。
もっとヒカルの内部を知りたくて、指の数を増やす。
ヒカルは難なくそれを銜え込んだ。
2本の指が内壁を弄る。
「あぁっ!!!」
ある場所をなぞった途端、ヒカルの腰が大きく跳ねた。
「ここが…イイのか?」
もう一度その辺りを刺激してみる。
「あっあぁーーーっ!!」
ヒカルの身体は反り返るように波打った。
びくびくと震える下半身を見ると、敏感に反応したヒカルの中心はそそり勃ち、
先走りの露を溢れさせていた。
和谷の指がヒカルの内側を隈なく犯す。
時折り、先ほど見つけたヒカルの敏感な部分を悪戯につついてくる。
ヒカルは息も絶え絶えになりながらその快感に腰を浮かせる。
「あっ…あっ…あん…」
突かれる度に漏れる声が艶を帯びて熱い。
揺れる前髪が汗を吸ってしっとりと額にまとわりつき、濡れた色気を漂わせていた。
(14)
和谷の指はヒカルを責めたてるように突き続けた。
あまりの刺激にヒカルの頭の中は真っ白になり、無意識に腰を揺らして
己の熱を解放させようと上下に動いた。
「あ…っあーーーー!!」
ヒカルは勢いよく噴水のように精を放った。
二度三度と腰を揺らして先端から放出される白い液が四方に散る。
それがヒカルの上気した白い肌にかかる様はたまらなく倒錯的だった。
「はぁ…はぁ…」
焦点の定まらない虚ろな目を薄く開け、弛緩する。
2度もイかされたヒカルはほとんど意識を手放しかけていた。
和谷はそんなヒカルを見つめながら愛しさと同時に苛立ちを覚えていた。
ヒカルの「初めて」の相手が誰なのか、ほぼ見当はついている。
その憎らしい顔は思い出すだけでも胸が悪くなる。
そんな奴のことはオレが忘れさせてやる。
ヒカルの身体に自分を強く焼き付けて忘れられないようにさせてやりたかった。
(15)
「進藤、辛い…?」
和谷は優しい声色でヒカルの耳元にささやいた。
反応はない。
「もっともっと気持ちよくなろうぜ」
そう言うと和谷はすでに大きく膨張し、そそり勃った己自身を取り出した。
力なく横たわるヒカルの足を抱えるようにして、その蕾に己の先端をあてがう。
そのままゆっくりと進入を計った。
ヒカルの身体がびくんと震えた。
先端は苦もなく中に入った。
少しずつ先端のみの抜き差しを繰り返すと、ヒカルの内壁がまとわりつくように収縮して
和谷を締め付け始めた。
「う……」
気持ちがいい。人の身体の中はこんなにも気持ちがいいものなんだろうか?
それとも相手がヒカルだからだろうか?
和谷は夢中になって更なる進入を計った。
「あう……あっ…う!」
体内で質量を増す和谷に圧迫されてヒカルが苦しげな声をあげる。
足には力が入り、抵抗するようにつっぱり和谷の身体を抑えつけてくる。
和谷はヒカルの中に入ったまま少し上体を起こすと、ヒカルに口付けた。
「力、抜いて」
そう囁くと、胸の突起を甘く噛んだ。
「あんっ!」
電流が流れるような衝撃にヒカルの身体が反り返る。
「進藤、おまえ感じ易すすぎだよ」
クスリと笑うと和谷は尚も乳首を舌で弄び続けた。
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