日記 11 - 15


(11)
オレ、今すごく動揺している。
どうしたらいいのかわからない。
和谷のところの勉強会に、昨日行った。
塔矢がいなくて寂しかったし、
みんなでわいわいやると気分も晴れると思ったから……
夜遅くなって、そのまま、みんなで部屋で雑魚寝したんだけど、
何か息苦しくて、目が覚めた。
誰かがオレの上に覆い被さっていた。
びっくりした。顔は見えなかった。
だんだん、顔が近づいて来て、オレ思い切り目をつぶって寝たふりした。
でも、起きてるのバレてたと思う。
キスされている間、ずっと身体が震えていたから。
相手は、すぐにオレの上からどいたけど。
オレ、その後ずうっと眠れなかった。
朝、お日様が昇ると、寝てるみんなをそのままにして、
すぐに部屋から逃げた。
だって、怖かったんだよ。誰だかわかんなかったし…。
塔矢に会いたいよ。


(12)
今日、塔矢が帰ってきた。
今日帰るのわかっていたから、塔矢のアパートで待つことにしたんだ。
塔矢はすごく喜んでくれた。
塔矢がうれしそうなので、オレもうれしかった。
疲れているのはわかっていたから、顔だけ見てすぐに帰った。
塔矢は、あからさまに(あからさまって何か難しくてかっこいいな)
がっかりしていたけどな。
オレは、塔矢の顔を見て元気になったので、この前のことは忘れることにした。
塔矢にも言う必要ないよな?
きっと、ちょっと試してみたかったんだよ。
オレ、あの中で一番下だし、女の子みたいな顔だってよくからかわれるし。
きっと、そうだよ。


(13)
塔矢から電話がかかってきた。
会いたいって。
昨日はすぐに帰ったから、今日はゆっくり会いたいって。
オレも…オレも会いたかった。
塔矢の碁会所で待ち合わせした。
オレ達はよく碁のことでもめるけど、
今日くらいはケンカしないでおこうと思っていたのになぁ。
熱中しすぎて、やっぱり大ゲンカ。
あ〜あだよ。


(14)
電話の前で考え込んでいると、お母さんに不思議そうな顔をされた。
電話がかかるたびに、ダッシュでとりにいっているからなあ…
でも、オレから電話するのはイヤなんだよ。
オレは悪くない……と思う。
ちょっとは悪かったかもしれないけどさ。
それに、いっつも、オレの方が折れるのもどうかと思うんだ。
そんなこんなで、出かけもせず、一日電話とにらめっこだ。
……で、結局、塔矢から電話はなかった。
凹む。


(15)
オレってつくづく現金だなあ。
昨日まで、日記書く気になれないくらい落ち込んでいたのに…。
今日、塔矢から電話があった。
塔矢も、ずっと、オレからの電話を待っていたらしい。
いつも、オレの方からかけるのに、今回に限ってかけなかったから。
だって、オレもちょっと意地になっちゃったんだよ。
いつもオレが折れるなんて、シャクじゃん。
塔矢が「ごめん」と言ったので、オレも素直にあやまった。
でも、悩みはもう一つある。
明日、和谷の家に行くのどうしようか。
やめた方がいいのかな?
森下先生の研究会で、和谷も冴木さんも普段通りにみえた。
でも、あの中の誰かがオレにキスしたんだよ。
忘れようと思ったけど、やっぱり怖い。
冗談だって思いたいよ。



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