りぼん 11 - 15
(11)
ケーキは予想以上のうまさだった。
「ごちそーさん! あー、おいしかった!」
コップに残ってたオレンジジュースを飲み干した。このジュースもオレがいつも飲んでるの
とぜんぜん味がちがった。
ほんとうに塔矢の用意する食べ物ってどれもこれもゼッピンだよな。
おなかもいっぱいになったし、このまま寝ちゃいたい。
けど塔矢は絶対にそうさせないだろうな。そう思ったら、やっぱりそうだった。
「そろそろプレゼントをもらうよ?」
塔矢がキスをしてきた。
そのまま手馴れた手つきで上着を脱がしていく。
暖房がきいてるから寒くないけど、触れてくる塔矢の指が冷たいから思わず身体が逃げた。
それにそれに! なんか肌がいつもよりもビンカンになってる気がする。
やっぱりお酒のせいなのかな。ちょっとしか飲んでないのに。だいたいオレ、お酒を飲んで
するのってイヤなんだよな。いつもより理性がなくなりやすくなるからさ。
「なあ、風呂に入っちゃダメか?」
少しでも酔いをさましたかった。なのに塔矢はすぐに却下しやがった。
「今すぐ、欲しいんだ。こっちも開けていいよね」
なんて言いながらジーンズのジッパーをおろしていく。
もうあきらめるしかないか。オレも足を動かしたり腰を浮かしたりして協力する。
オレだけすっぱだかにされるのって恥ずかしい。それも今さらだから何も言わないけど。
「進藤、手を出して」
ん? なんだろ、いったい。とりあえず右手をさし出してみる。
「って! おい!?」
塔矢が手首から肩にむかってリボンをくるくるとまいてきた。
見るといろんな色のリボンが塔矢の手元にあった。いつのまに用意したんだ!?
「なんだよ、これ!! おまえ何する気……あっ」
ふとももの内側を撫でられて、声をあげてしまった。みっともねえ〜!
「キミは今日はボクの誕生日プレゼントなんだから、好きにさせてくれないか」
オマエ、いつも好き勝手してるじゃないか!
(12)
緑とか黄色のリボンを塔矢はオレのふとももや足首、お腹にもまいてくる。
けどさ、よく考えると……考えなくても、おかしいよな。
だってオレが誕生日プレゼントなんだろ?
と言うと、コイツは自分へのプレゼントを自分でラッピングしてることになるんだよな?
それってヘン。
けどまあ、塔矢は楽しそうだからいっかぁ。
リボンのはしっこで肌をくすぐられて、オレの息も思考もおかしくなってきたみたいだ。
「ん……っ?」
チリン、って鈴の音がした。
げ、塔矢のヤツ、首に鈴のついたリボンを結びやがった。
動くとチリンチリン、って鳴る。猫の首輪みたいだ。
「全身リボンできれいだよ」
塔矢はうっとりしながら、リボンにはさみの刃をあててしごいた。
くるんくるんとリボンが丸くなっていく。
ちょっと手を動かしてみようとしたけど、リボンが邪魔して無理だった。
――――なんか、これって縛られてるみたいだ。
「進藤……」
塔矢がオレのひざを割って身体を入れてきた。
軽く舌を突き出すと、塔矢も同じように舌を出してきた。
唇はあわさずに、こうやって舌だけからめあうのって、えっちぃな。
「甘いね」
「ケーキ食べたからな」
「きみとのキスはいつも甘いよ」
「……恥ずかしいヤツ……」
今度は唇を深くおおわれた。おまえだってものすごく甘い。
そんでキスをしてると、オレはいつもお酒に酔ったみたいにクラクラしてくるんだ。
「ふ、んっ……」
塔矢に乳首をきゅってつままれて、オレはまた声を漏らした。
(13)
塔矢の指とはちがう、冷たくて硬いものを感じた。
目線を下にやると、塔矢はケーキにのっかってたブルーベリーを乳首の上で転がしてた。
それでいじられると、すごくもどかしくなってくる。オレは塔矢のそでをつかんだ。
「塔矢っ……」
焦らさないでくれよ。オマエ、いじわるだ。
けど塔矢はやっぱりいつまでも直接的な刺激をくれようとしない。
塔矢が指先に力を入れると、ブルーベリーがプチッてつぶれた。
はじけた汁をオレの乳首にぬりこめていく。片方だけ色が赤紫になった。
うわ、すげぇヤラシイっ。
「ちょっ……ヤダからやめろ!」
「でも」
「いいからやめろ!」
塔矢はフマンそうな顔をしたけど、指をはなした。けどその指はまたケーキの上をさまよい
だした。おい、今度はなにをする気だ!?
イチゴを取ると、スプーンで白いところをくりぬいた。イヤな感じがする。
「ふざけんなよっ、てめえ!」
空洞になったところをオレの乳首にかぶせてきた。オレのはもう硬くなってたから、イチゴ
はオレの胸の上でちょんと立っている。
「おまえオレで遊んでんだろっ」
「キミだってさんざんボクを弄んでいるじゃないか」
「んぁっ……」
こんなくだらないことに反応していたペニスをこすられて、オレの腰がはねた。
「動くと落ちる。ほら」
転がったイチゴをもとの場所に置いた。かたっぽはヘンな色をしていて、もうかたっぽには
ヘンなものがのってる。今のオレってすごくヘンだ。
塔矢が服をぬぎはじめた。逃げるチャンスなのに、オレはじっとしてた。
オレってコイツにおとらずバカかも。
「進藤」
直接ふれる塔矢の身体はとても熱かった。
(14)
両膝をたてて開くと、塔矢はオレの片ひざに手を置いて、あいさつするように頭をさげた。
ペニスにキスして、そのまま下のほうまで唇が移動していった。
寒さじゃないぞくぞくが腰のあたりに這いのぼってくる。気持ちが良くなってくる。
なのに、今度は恐ろしいぞくぞくがいっぺんに全身に広がった。
塔矢のヤツがまたケーキを見ていたんだ。
「おまえ、まさか果物を入れる気じゃねえだろうな!?」
「お望みなら、そうするけど?」
だれがそんなこと望むか、だれが!!
塔矢は生クリームをたっぷりと指先につけると、それをオレの下の穴に突き入れてきた。
「くっぁ……うぅ」
何度も何度もすくいとって、それでほぐしていく。
食べ物でそんなことすんなよ。バチがあたるぞ。
「おいしそう……」
「やっ……ぁあ」
指よりも軟らかくてぬめっとしたのを感じた。塔矢の舌が入り口のあたりをうごめいてる。
「はっ、んんっ」
乳首がきゅうきゅうと痛みを訴えてくる。
たまらなくなって、オレはイチゴがのってないほうの乳首をつまんでこねた。
そしたら塔矢がイチゴごと乳首をパクリとくわえてきた。
「いたっ」
くそー、塔矢のやつ、イチゴごとかみやがった。
痛いって言ってんのに、塔矢はそのままそこをしゃぶりつづけてる。
「んぁっ、んん」
オレのペニスが塔矢の腹のあたりにこすられて、どんどん張り詰めていく。
やめようって思うのに、どうしても腰を動かしてすりつけてしまう。
そしたら塔矢が気付いたように、ああ、と声を出した。
けど、その目つきがなんだかヤバイ。
「ここにもリボンをかけるのを忘れてたよ」
塔矢が鮮やかな一本の赤いリボンを手に取った。
(15)
「そこはやめろ!!」
オレは必死で逃げようとした。鈴がうるさく鳴っている。
「大丈夫、軽く結ぶだけだから」
手を振りまわしても、オレは塔矢に組み敷かれてるから不利だ。
あっというまに塔矢はそこにリボンを結んでしまった。
なんでこんなことされなきゃいけないんだ!!
コイツを殴って帰ってやりたい。
思うのに、できない。
オレは塔矢にこうされることを許してる。
好きだから、許せる。
けど塔矢はいまだにオレの気持ちがかなり少ないって思ってる。
塔矢はバカだ。
「はぁっ、んんぅんっ」
オレのなかを動く指がクチクチと音をたててる。
塔矢の熱っぽい息とその音が、オレを追い上げていく。
「っはや、く……もっ……」
声が高くうわずってる。オレ、してる最中の自分の声、キライだ。
だってオレのものとは思えないようなのが出るんだもん。
塔矢はもっと聞きたいって言うけどさ。
「っ、しんどっ……」
塔矢は身体をかがめて、オレの片足を肩にのせた。
腰が浮くと、すかさず塔矢がペニスをそこにあててきた。息をつめてオレを見てる。
オレは身体の力を抜いて、塔矢が入ってくるのを待つ。
「あぁっつ!!」
先っぽのところを入れられるのが一番きつい!
そこは入れるとこじゃないから、かなりヘンな感じがする。
まだ気持ちよくない。気持ちよくない、のに!!
「ふん……とぉやぁ……あぁっ、はっ……っあ」
オレってば、なんかイヤラシイ声だしてるよ。
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