それいけ☆ヒカルたん 11 - 15


(11)
「佐為、急いで!!」
トーマスは佐為を急き立てる。
「でも、これが最高速度なんですー」
佐為は泣きながら運転する。
戦車のように大きなそれは、車体が重いせいかスピードが遅かった。
「早くしないとヒカルたんの体がもたねェよ!!」
「わーん、ヒカルたん、ごめんなさい、ごめんなさい。今行きますからねー」
佐為は子どものように泣きじゃくった。そんな姿を見てトーマスは少々不安になった。
「ところで佐為。若゙キンマンを本当にやっつけることはできるんだろうな」
「大丈夫です。私のかわいいヒカルたんを傷つける者など、一刀両断にしてみせます!」
佐為からメラメラと怒りの炎が燃え上がる。
トーマスはそれを見て安心すると、ヒカルたんのいる洞穴へと目指した。
そこへ、スーッと宇宙船が通り過ぎる。
「佐為! あれ、若゙キンマンの宇宙船だよ!」
トーマスは指差した。
「どういうことでしょうか。・・・まさか、あれにヒカルたんが乗っているとか?」
「そうかもしれねェ。アイツ、ヒカルたんを手に入れるために、今まで散々酷いことをし
てきたんだ。この前だって町の子どもを誘拐してヒカルたんを要求したし。だからもしか
したら自分のアジトに連れてって、監禁・調教・性奴隷なんてこともありえ・・・」
「わぁ〜ん、ダメですぅ。私のかわいいヒカルたんを返してくださいー!」
佐為は大声で泣き叫んだ。トーマスはあまりのうるささに耳をふさいだ。
「佐為、そんなに泣くなら早くあとを追えよ」
「わかりました。トーマス、しっかりつかまっててくださいね」
そういうと佐為はニトロボタンを押した。
ゴーという音とともにその乗り物は空中に浮かぶと、目にも止まらぬ速さで若゙キンマンの
宇宙船を追いかけた。


(12)
バシャッと冷たい水がかけられ、ヒカルたんは目を覚ました。
するとそこには見たこともない光景が広がっていた。どこを見渡しても自分がいるのだ。
自分といっても、大きな部屋の壁一面に自分の写真やポスターがはられていたり、自分そ
っくりの人形が飾られていたりしていて、また大きなスクリーンには自分の姿が盗撮され
たような形で映し出されていた。
なんだここはと起き上がろうとして、自分の手や足に枷がついていることに気づく。そし
て首には首輪があり、鎖がつけられていた。
その鎖をたどって顔を上げると、そこには酷く冷たい目をした若゙キンマンが立っていた。
「ようこそ、ボクのヒカルたんの間へ。すごいだろう。この広間はキミのコレクションで
埋め尽くすためだけにつくった部屋なんだ」
若゙キンマンは鎖をたぐりよせながらゆっくりと近づくと、ヒカルたんと目線を合わせるた
めにしゃがんだ。
「でも毎日のようにキミのコレクションは増えていくんだけど、いつも何か物足りなくて
仕方なかった。何故だかわかるかい?」
若゙キンマンはポケットから透明なガラスの小瓶を見せた。中にはぁゃιぃ紫色の液体が入
っている。
「本当のキミがいないからだよ」
ヒカルたんは怖くなって逃げようとした。しかしこんな状態で逃げるなど、無謀なことだ
った。
若゙キンマンはその小瓶のふたを開けると、ヒカルたんへ無理矢理飲ませた。
ヒカルたんはその液体をすべて飲み込んでしまう。食道が焼けるように熱くなってむせた。
そしてだんだんと体が熱くなるのを感じる。
「な・・・なんだこれ。いったいなに飲ませたんだ」
ヒカルたんは若゙キンマンを睨んだ。
「なんだろうね。まぁ、効果はそのうち身をもってわかると思うよ」
若゙キンマンは濡れたヒカルたんの髪をすくと、頬から首筋へと指でなぞった。そして乳首
へと辿りつくと、チョンと軽くつついた。
ああぁんっとヒカルたんは喘ぐ。今まで出したこともないその声に、驚いて口をふさいだ。


(13)
「どうしたんだい。コレだけで感じてしまったのかい? まったくキミは本当にいやらし
い体をしているんだね」
若゙キンマンは続けてそれを行なった。
ヒカルたんは今まで感じたことのない、脳天を突き破るかのような快感にしびれている体
を抑えたくて泣きだした。ヒカルたんにはもう泣くことでしか抵抗はできなかった。
それを見た若゙キンマンは、何を思ったのか、突然その場から立ち去った。
ヒカルたんは無意識のうちに若゙キンマンを名残惜しそうに見つめてしまう。
若゙キンマンは隅にある椅子に座ると、ヒカルたんに目もくれずに窓の外を見た。
ヒカルたんは開放されたことを喜びつつも、体が先ほどの快感を求めてうずうずしている
ことにとまどった。
それでも一刻も早くこの場から立ち去ろうと試みる。けれど突然自分に無関心になった若゙
キンマンが気になってなかなか動けなかった。
「放置された気分はどうだい?」
モジモジしているヒカルたんに、若゙キンマンが嫌みったらしく話しかける。
ヒカルたんは嗚咽をもらして泣いた。そしてこのままでは逃げることは不可能だというこ
とを思い知らされた。
ヒカルたんはヒーローというプライドも何もかも捨てて、体の赴くままに従うことにした。
それは若゙キンマンにこの身を捧げるということだ。
初めからこうすればよかったのだ。変に自分の力を過信して戦ったから被害や犠牲がでた
のだ。自分が若゙キンマンのものになれば、町には永遠の平和がもたらされるだろう。
だがそんなきれい事よりも、今は若゙キンマンが欲しくて欲しくてたまらなかった。
「お願い。来て・・・」
ヒカルたんはヒーローであることを忘れて、若゙キンマンに熱っぽい視線で懇願した。
「やっとボクを受け入れてくれる気になったんだね。うれしいよ。これでようやくボクの
ヒカルたんコレクションは完成だ」
そういうと若゙キンマンはヒカルたんに近づき、深く口づけをした。
ヒカルたんはその気持ちよさに恍惚とした表情をつくると、若゙キンマンに身を委ねた。
薬のせいだけとは思えないほど、従順に・・・。


(14)
ドカーン!!
「イテテ、佐為! よく見て運転しろよなっ!!」
トーマスはぶつけた頭を痛そうにさすった。佐為はぶつかった衝撃で目をまわしている。
二人が乗っていた乗り物は若゙キンマンの大きな城を囲む塀に激突していた。
「佐為、行くぞ」
トーマスは佐為の首根っこをつかむと、若゙キンマンの城へと向かった。
佐為はクラクラする頭を抱えながら、トーマスのあとを追う。
高圧電流をあびたにもかかわらず、トーマスは恐れることなく突き進んで行った。その姿
に佐為はうれしそうに微笑む。
トーマスはヒカルたんの良き兄貴分ではあるが、頭に血がのぼりやすく、少々頼りなく思
っていた。しかし仲間を慕い、救おうとする心優しい姿と勇姿に、佐為は心を打たれた。
だが当のトーマスはいかがわしい策略で頭がいっぱいだった。
(傷心のヒカルたんの目の前で、オレ、おかっぱを倒す→ヒカルたん、オレに一目惚れ→
助けてくれたお礼にとヒカルたん、オレと合体→オレのスペシャルテクに、ヒカルたんメ
ロメロ→ヒカルたん、オレと永遠の愛を誓う→ヒカルたんはオレのもの(;´Д`)ハァハァ)
「完璧だ・・・。なんて素晴らしいシナリオなんだ・・・」
「なにかいい作戦でもあるのですか?」
一人大喜びをしているトーマスに佐為は話しかける。
トーマスは伸びきった鼻の下を慌てて隠すと、自分に活を入れた。
「待ってろよ、ヒカルたん! 今日こそあの変態おかっぱ野郎を倒してみせるからな!」
いつもとは違う頼もしいトーマスに、佐為は良きパートナーを持ちましたね、ヒカルたん
と思うと、ヒカルたんのいる場所を目指した。


(15)
その頃、ヒカルたんは若゙キンマンの言いなりになっていた。
若゙キンマンが求めるなら、どんなことでも受け入れた。なぜなら、与えられる刺激全てが、
ヒカルたんを夢中にさせていたからだ。
調子に乗った若゙キンマンは、ヒカルたんに愛の言葉をせがむ。
「ヒカルたん、ボクの名前を呼んで。そして世界で一番愛していると言って」
ヒカルたんはその呼びかけに戸惑った。それに気付いてか、若゙キンマンはヒカルたんを弄
ぶ手を止める。
ヒカルたんは我慢できず、ゆっくりと口を動かした。
「若゙キンマン、世界で・・・一番・・・愛・・・してる」
ヒカルたんはそれを言うと涙が止まらなかった。
それはヒーローである自分が、若゙キンマンに完全に降伏してしまったからという理由もあ
るが、こんな形で愛の言葉を無理矢理言わされることのほうがもっと悲しかった。
心優しい町のヒーローであるヒカルたんは、正義を愛し、人を愛し、心が一番大切なんだ
と思い、町の平和のために尽くしてきた。
それだけに、若゙キンマンのもので人を操る行為は許せないし、それに従わざるを得ない自
分が情けなかった。
ヒカルたんは葛藤から、涙を止めることができず、その場に泣き崩れた。
若゙キンマンはそんなヒカルたんを抱きしめようとした。
ヒカルたんはその手を何とか振り払おうと、宙に手を泳がす。しかしそれでも若゙キンマン
はヒカルたんをぎゅっと抱きしめた。



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