痴漢電車 お持ち帰り編 11 - 15
(11)
腕の中で急に大人しくなってしまったヒカルの額や頬に優しく口吻る。
「ホントに?」
「うん……好きだよ…進藤が大好き……」
ヒカルは不安そうに何度も訊ねてくる。それがすごく可愛かった。
「ホント………?」
「本当だよ。」
しつこいくらいのヒカルの問いかけにいちいち答えてやる。そうすると、ヒカルは安心したように
瞼を閉じた。
やっぱり、ヒカルは自分に好意を持っている。さっきまで、あんなに暴れていたのに、今は
自分にしがみつくようにしてアキラの愛撫を受け入れていた。
「ン…………アァ………」
ヒカルが、眉を寄せて、苦しげに喉を反らせた。そこにまた、唇を落とした。うっすらと、薄い
紅色がそこに残される。自分にしがみつく腕に力がこもる。
アキラは、脱がしかけていたパジャマに再び手をかける。片袖を引っかけたままの上着を
するりと抜き取り、ズボンと下着も手と足を使って下げていく。足首で丸まってしまった
それを蹴り、遠くへ放ってしまう。
ヒカルから、身体を離して真上から全身を眺める。一糸纏わぬその姿にアキラは感嘆の
声を上げた。
『ああ、進藤の裸………きれいだ…目が眩みそうだよ……風呂場を覗くのガマンしてよかった………』
電車の中とはまた違った趣がある。アキラは感動のあまり、気持ちと身体の両方が瞬時に
頂点に達したのを感じた。
あんまりじっくりと見ていたので、居心地の悪さを感じたのか、ヒカルが身体を捩って
アキラの目から自分を隠そうとする。
慌ててヒカルの上に覆い被さり、抵抗を封じた。
「あ、ヤダ……ジロジロ見るな……」
「見たいよ……全部みたい……」
まだ、何かを言いつのろうとする唇に自分のそれを深く重ねた。
(12)
まだ、こういうことになれていないヒカルは、どこで息をしたらいいのかわからない。
アキラが口を離すと同時にハアハアと大きく口を開けて、空気をむさぼった。
「…………進藤、可愛い……」
“可愛い”なんて、男にとって、ホメ言葉でもなんでもない。少し、バカにされたような気持ちになった。
「………可愛い?」
「うん、可愛い………本当に、ボク、進藤の全部が好きだ………」
“可愛い”にムッとしながらも、“好き”に身体が反応する。
“好き”なんて、すごく気軽な言葉だ。自分だって、しょっちゅう言っている。
ケーキが好き。スポーツドリンクが好き。ファッションはスト系が好き。友達と騒ぐのが
好き。それから………キリがない。
それなのにアキラに言われると、何故だか頬が熱くなる。
『きっとスゴク重みがあるからだ………本当に大事なモノに言う時みたい………』
お父さんとお母さんが好き。じいちゃんとばあちゃんが好き。碁を打つのが好き。大好き。
…………………佐為が好き………。
ヒカルが大事なモノに言う“好き”と、アキラがヒカルに言う“好き”に同じ響きを
感じる。
『………塔矢はオレが好き………大好きなんだ…………』
心の中がホカホカ温かい。
ヒカルはアキラに笑いかけ、その首に腕をまわした。
(13)
今まで、見たことがないようなうっとりとした微笑みをアキラに投げかけ、ヒカルが首にしがみついてきた。
「進藤?」
ヒカルの心臓の鼓動を感じる。ドキドキと早鐘を打っていて、こっちにまで伝染しそうだ。
ヒカルに求められているという事実がアキラを舞い上がらせた。
「進藤………!」
アキラは再び、キスをした。
ハアハアハアハア――――――
ヒカルの甘い息づかいが耳を打つ。胸の突起に唇を落とすと、ヒカルはブルッと小さく震えた。
可愛らしい二つの飾りは、それまでアキラにさんざん弄られていたこともあって、ぷっくりと
勃ち上がっていた。乳首の側面を押すようにして、強く吸い上げる。
「ア……ッ!アァ――――――ア、ァ、あぁん………!」
ヒカルはアキラに押しつけるように胸を反らせた。実際、ヒカルにはそんなつもりはなかっただろう。
だが、その結果、ますます強く胸を嬲られ、ヒカルは激しく身悶えた。
「やぁ………!ア、はぁン……やめてぇ………塔矢……」
「やめて」と発する唇から吐かれる息は、熱くてどこか切なげだ。甘えるようなその声に、
煽られるようにアキラは舌で、突起を舐め上げた。
「んん――――――――――」
ヒカルの手がアキラの肩を強く掴んだ。
(14)
「すごい……」
アキラは、あまりに感じやすいヒカルの身体に感動していた。その乱れ様見ているだけで、
自分の中心も堅く張りつめていく。
「あ……ダメ…」
後ろに這わせたアキラの手をヒカルが押さえた。
「え…?どうして?」
自分はもうヒカルの中に入りたくて仕方がなかった。
ヒカルはモジモジと身体を捩らせ、小さな声で訴えた。
「………痛いんだ……ジンジンするし…何か挟まっているみたいな感じがする………」
恥ずかしそうに顔を背け、口元に手を添えている。その可憐な姿は、余計にアキラの劣情を刺激した。
「どうしても?ボク、進藤に入りたい……」
「………だって…本当にスゴク痛いんだよ…また、されたらオレ死んじゃうよ……」
ヒカルはなかなか「うん」と言ってくれない。強引に後肛に触れると、ヒカルが悲鳴を
上げた。
「あ……ヤダぁ…!」
なるほど、少し腫れているようだ。軽く触れただけでも、ヒカルは呻いた。
(15)
「痛くないようにするから………ダメ?」
「ちょっと触られただけでも痛いよ………痛くないようにするなんてムリだよ……」
すげなく断るヒカルの胸を弄りながら、耳たぶを噛む。ヒカルの弱いところは、もう、大方
把握している。
「う…うぅん………」
「ね…進藤…どうしてもダメ?」
首筋に息を吹きかけながら、囁くように問いかけた。
「………や……やだ…」
『案外ガンコだな……可愛い顔してるのに………』
顔と性格はあまり関係ないが、こういう場合可愛らしく「うん…いいよ…」と、言って欲しい。
普段は、顔に似合わず、小憎らしいところが溜まらなく可愛いと思っているのに、我ながら
勝手だ。だけど、それぐらい切羽詰まっているのだ。
もう、ムリヤリ入れちゃおうかな―――――そんな物騒な考えが頭をよぎったが、アキラは頭を
激しく振って、その考えを振り払った。
『いくら何でも、それは可哀想だ……』
せっかくヒカルがその気になってくれているのに、絶交されてしまうかもしれない。
「ねえ…どうしてもダメ?」
ヒカルの中心部に手を添えた。ヒカルの身体がぴくんと震える。
「う………ダメ…だよ…」
「どうしても?」
手をゆっくりと上下にさすると、ヒカルの呼吸もそれに合わせて荒くなる。
「あ、あ、あぁ………」
「進藤………」
先端の割れ目に軽く爪を立てて、くりくりと押し込む。
「ア……!イヤァ!」
もうイキそうになっているヒカル自身の根本をギュッと握った。
「やぁ!何でぇ!?」
ヒカルが抗議した。目に涙をいっぱい溜めて、アキラを睨み付けた。
|