初めての体験 115 - 116


(115)
 温かく湿ったモノに包まれて、ヒカルは一際大きな嬌声をあげた。ヒカルのように上手くは
できないが、社は懸命に仕えた。辿々しく舌を這わせ、しゃぶる。拙い愛撫が余計に、
ヒカルを煽っていることに社は気づいていなかった。ただ、ただ、ヒカルを喜ばせて上げたい
その一心から、奉仕し続けた。いや、なにより、とろけるように甘いヒカルの全てを味わい
尽くしたかったのだ。
「やしろ…きて…おねがい…」
ヒカルが社を呼んだ。社は、一瞬戸惑った。が、すぐに言葉の意味を理解して、ヒカルが
持っていた瓶を手に取った。中の液体を手にたっぷりつけ、ヒカルの後ろに指をあてがう。
 恐る恐る指を沈める。ヒカルに苦痛を与えないように、ゆっくりと静かに内部に侵入させた。
「…!」
ヒカルは、全身の力を抜いて社の行為を受け入れた。指を前後に動かすと、ヒカルが小さな
吐息を漏らした。指の動きが激しくなるにつれ、か細い吐息は確かな嬌声へと変化していった。
 ヒカルの嬌態を目の当たりにして、社は興奮した。もっと、感じて欲しい。思い切って
指を増やした。中で指を自在に動かし、ヒカルを翻弄する。
「あ、あ、あ、あ…やしろ…やしろ…」
自分を求める声が強くなる。もう我慢の限界だ。社は、昂ぶっている自分自身にも液体を
塗りこむと、ヒカルの足を大きく広げそこに身体を割り込ませた。
「ええか?」
目に涙を滲ませて、ヒカルが何度も頷いた。


(116)
 「アアァ――――――――」
ヒカルが細い悲鳴を上げた。その瞬間、目の眩むような快感が社を包んだ。
「あん…やぁ…ひぁ……」
社が腰を揺する度に、ヒカルの口から悲鳴が漏れる。だが、それは苦痛からではない。
瞳に涙が滲んでいるのも哀しいからではない。自分を受け入れ、快感に浸っているからだ。
――――――進藤!好きや!
心の中で何度も叫んだ。ヒカルを求めて、動きが徐々に激しくなる。
「ああ!やめて……やしろ…!あぁ…う…ん…」
――――――ホンマに…好きやねん……
「ああぁ―――!」
ヒカルが小さく叫んで、社を締め付けた。社の身体は一瞬緊張し、その後ゆっくりと弛緩した。



 「だけど、意外だったな…」
ヒカルが、社の胸に身体を預けたまま呟いた。社は、ヒカルの顔を覗き込んだ。
「だって、社かっこいいし、もてそうだもん…こういうことなれてると思ってた…」
社を揶揄しているわけではない。心底感心しているような口調だった。
 ヒカルは誉めているつもりなのだろうが、遊び好きのように思われていたのは心外だ。
社はそれを言おうと口を開きかけた。
「ん?どうかした?」
ヒカルの可愛い顔が目の前にあった。大きな瞳で自分を見つめている。
 社は、顔を赤らめてそっぽを向いた。
「オレは…オレは…好きなヤツとしか、したないねん!」
照れ隠しに、小さく怒鳴った。
「それって…オレのことが好きってこと?」
真顔で聞き返されて、答えに詰まった。返事を訊かなくても、社の態度や表情を見れば
バレバレだろう。
 ヒカルは、ニッコリと笑った。社を虜にした極上の笑顔。
「社…オレ…オマエのこと好きになりそう…」
そう言ってヒカルがキスをしてきた。その一言だけで、ヒカルの与えてくれた優しいキスは、
社の中で変化した。今までとは違う骨の髄から溶かすようなキス。何も考えられなくなった。



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