光明 12


(12)
「だいたいアイツは こっちの都合に関係なく、いきなり現れるんだよなっ!」
ヒカルはブツブツ言いながら家に帰り玄関のドアを閉めた。
ドアの音に気付いた母親が玄関に顔を出した。
「あらヒカル随分遅かったわね。もう紅白 終わっちゃうわよ。」
「オレ今日もう寝たいから いいや。」と言いながらヒカルは階段を上がり自分の部屋に入った。
「珍しいわねぇ。いつもなら2・3時まで起きているのに。」
母親は怪訝な顔をしながら居間の方へ戻っていった。

自分の部屋に戻ったヒカルは床にコンビニ袋を置き、寝巻き用のジャージに着替えると
ベッドの上に腰をかけてゴロンと仰向けになった。
買ってきたジュースやお菓子を食べる気は、完全に失せていた。
時々 自分の唇に指を当てて「オレの気のせいかな?」と呟いた。
塔矢が同じ男である自分にキスをしたのが到底信じられなかった。
「やっぱりオレの気のせいだよな。そうだ、そうだよ。」
ヒカルは そう思うことにした。
そして部屋の電気を消してベッドの中に入って目をつむり頭から布団を被った。
でも しばらくするとアキラの姿が頭にチラつきはじめた。
雪明りに照らされている中、矢のように射抜くような透明感のあるアキラの瞳がヒカルの脳裏に
鮮やかに何度も蘇っては消えていった。
一見いつも通りのアキラに戻っていたようだったが、
ヒカルはアキラの目の奥底に微かに憂いを帯びた影が潜んでいるのを見たような気がした。
「・・・・・眠れねぇ・・・。」
ヒカルは軽く溜息をついた。



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