Shangri-La第2章 12
(12)
「…どういう意味ですか」
「進藤の時間を、お前が買えばいいだろう?そうすればお前だって、
昔の男の部屋に上がり込む必要もなくなるし、
進藤は時間を有意義に使って稼げる、全て丸く収まるじゃないか」
全く頭にない発想を展開され、アキラは一瞬考え込んでいた。
「それは…それは、ボクに、進藤と援交しろと?」
アキラの全てが強張っている。
まずもって、アキラの常識にない考えであることは間違いない。
「あぁ、最近の若い奴はそんな言葉を使うんだったかな…」
「いい加減にして下さい!ボクは進藤とはそういう関係ではありません!」
アキラは勢い良く緒方から身体を離した。
「もう寝ます!おやすみなさいっ!」
――こんなに怒気を含んだ就寝の挨拶があるだろうか?
緒方は苦笑いを浮かべて、おやすみ、と一言だけ返した。
アキラの姿がドアの向こうに消えた途端に
こみ上げる笑いを押えることが出来なくなり、
緒方は暫く喉奥で笑い続けた。
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