浴衣 12
(12)
乳首を吸われ、立っていられなくなった。
洗面台に体を預け、進藤の愛撫に身を任せる。
軽く閉じた瞼の裏に、神社の暗い水場で、僕の足の指をしゃぶっていた進藤の、あの唇が思い出される。
一度は無理矢理鎮めた熱が、凄まじい勢いでよみがえる。
「進藤―――」
全身の血液が、ただ一点に集まっていく。
「進藤………」
自分の声に煽られる。
僕はなんて恥ずかしい声で、彼の名を読んでいるのだろう。
「塔矢、……ヒカルって呼んでよ」
進藤の熱い呼吸が、僕の勃ち上がった性器にかかる。
君はどこに向かって話しかけているんだ!?
「進藤じゃなくて、ヒカルって……呼んで」
それはもう命令だった。
そう言う君こそ、いまだに僕を苗字で呼ぶじゃないかと怒鳴ってやりたかったが、そんな余裕はもう僕に残されていなかった。
「ヒカル!」
甘い声でも、優しい声でもなかった。
切羽詰った僕は、叫ぶように彼の名前を呼んでいた。
「ヒカル、……ヒカルっ……!」
進藤の舌が、僕の性器の先に触れた。透明な雫をこぼしているだろう鈴口の辺りで、ピチャピチャと濡れた音が途切れることなく聞こえたてくる。
「ヒカルぅ………」
僕のペニスが、進藤の柔らかい粘膜に包まれた。
自分では再現することのできない快感が、そこを中心に全身に広がっていく。
「ヒ……カァ……………ん」
精神的に、散々高められていた僕は、あっけなく進藤の口になかに欲望を迸らせていた。
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