悪代官−真夏の企み 12


(12)
「な、なんか人多いな…みんなお祭りに行くのかな?」
中央線に乗り込んだボクと進藤。日曜だと言うのにやたら混んでいる。それはやはり祭の
せいなのだろうが、まるで通勤ラッシュの如く混みまくっていた。ボク達はドアと手摺り
の角になんとか立っていたのだが、電車が揺れる度に背中に人がのしかかって来る。
それが堪らなく欝陶しく、不快である。
…でも。
「なあなあ、返事しろよ塔矢ぁ!みんなお祭りに行くのか?なあ?なあ?」
「うん、多分…」
ボクは進藤を庇うように手を彼の頭の両脇の壁に突いていたので、かなり間近に進藤の身
体があった。その上電車が揺れる度に進藤の身体に完全に密着するのだ。正に背中は地獄
、正面は天国。甘い花のように香る進藤の体臭や髪の匂いがボクを誘惑するのには困るの
だが、それでも。我慢が大きければ大きい程、後の喜びは大きい筈だ。夢の代官ゴッコを
成し遂げる為にも、ここはキスだけで我慢しよう。幸いもう立川を過ぎたし、もう着くの
も時間の問題だ。ボクは進藤の頭を支え、そっと顔を近づけた。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル