平安幻想秘聞録・第一章 12
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佐為に優しく導かれて、ヒカルは程なく絶頂を迎えた。
「光、大丈夫ですか?落ち着きましたか?」
一度達したというのに、濡れたヒカルの太股は微かに震え、佐為に見
られていると思うだけで、また勃ち上がりかけている。
これが何を意味しているのは分からない。分からないけど、佐為が欲
しい。ヒカルは重い両手を上げて、もう一度手を伸ばした。
「佐為、お願い、して・・・」
「いいのですか?」
「いいよ。佐為なら」
「後悔、しませんか?」
「しないよ。それとも、佐為が嫌?オレなんか、抱くの」
「そんなことはありません」
首を横に振る佐為の表情は偽りを含んでいるようには見えない。それ
にほっとして、微笑んだ。妖艶とも淫靡とも違う子供のような笑みに少
し戸惑いながらも、佐為は縋りついてくる身体を柔らかく引き寄せ、唇
を合わせた。すぐに舌先が触れ、奪い合うように絡ませる。唾液をうま
く飲み込めないヒカルの唇の端から零れ落ちる。それを拭い、額や頬に
口づけながら、夜具の上に抱き倒した。
ヒカルはただ佐為を見上げて、次に来るもの待っている。不思議と何
も怖くない。ずっとこうして欲しかったようにも思えて、表情には出さ
ずに苦笑した。
ここは平安の世だから、現代のオレとはどこか違うのかも知れない。
「はぁ、ん・・・」
敏感になった根本をさすりながら、佐為はヒカルの最奥に舌を差し入
れて、濡れないそこを湿らせる。意図しないぴちゃりという音に、何が
触れているのか分かって、ヒカルは腰を引きそうになった。
「佐為、そこ、汚い・・・」
「汚くなんてありませんよ」
逃げる身体を引き戻して、更に舌先で唾液を送り込む。初めての刺激
にヒカルは身を捻りたくなるのを耐えた。
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