sai包囲網 12
(12)
「と、と、と、塔矢!?」
「話す気になった?」
銜えたままの唇の動きに、ヒカルはぶるぶると左右に頭を振る。口を
開くと、とんでもない声が飛び出て来そうになる。
「そう・・・」
低く呟いて、アキラはヒカルのジーパンのチャックを下ろして前を広
げ、下着をかいくぐるようにして直接敏感なところに触れて来た。
「うわぁぁーー!?」
『ヒカル!』
『佐為ー、こういうときはどうすれば、いいんだよー!?』
『そ、それは・・・』
平安の時代は日常茶飯事とは言わないまでも、男同士の睦言など当た
り前のことだった。なまじっか知識のある佐為には、アキラがこの先に
進めばどうなるか分かるだけに、ヒカルに本当のことを言うことができ
ない。アキラを制止するためには、saiのことを話さねばならない。
いつまでヒカルと共にいられるか分からなくなった身では、saiの正
体が明かされた後、どこまでヒカルを支えてやれるかも分からない。
私は、どうすれば・・・。
「やだ、塔矢・・・」
「嫌ならすぐにやめてあげるって、言ってるのに」
「はぁ、あぁ・・・」
ヒカルの目の前にあるアキラは涼しげな顔をしているのに、下肢では
その手が淫らに動いている。硬くなりかけたヒカルを手の中に包み込み、
翻弄するアキラも見た目ほど冷静なわけではなかった。目元を紅く染め、
自分の動きに熱い吐息を漏らすヒカルは、ひどく艶めかしく。saiの
正体を暴くという、当初の目的すら忘れてしまいそうになる。このまま
ヒカルが口を割らなければいいと、アキラは思い始めていた。
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