誕生歌はジャイアン・リサイタルで(仮題) 12
(12)
グロテスクな、そう…例えるならジャイアン・リサイタルを生で聞いたような音波にヒカルが
覚醒すると、泣きながら自分の名前を呼ぶオカッパの天使と、耳血を流しながら
死屍累々と横たわるじじいの天使達の阿鼻叫喚の地獄絵図が目の前に飛びこんできた。
「さ、佐為ー!オレ、生き返れなかったみたいー!しかも地獄へ来ちまったよー!!」
「し、進藤、どうしたんだ!?まさかまだ頭にエーテルが残っているのか!?」
「離せ、離せー!オレを佐為の所へ帰してくれよ!うわーん、佐為!佐為助けてー!」
泣きながら暴れるヒカルにどう対処したらいいのか分からなくなったアキラは、父を呼んだ。
「お父さん、進藤に子守唄を歌ってあげてください!きっと落ちつくと思います!」
「分かった」
とんでもないことを言い出した親子を後ろから羽交い締めにし、エーテルを嗅がせたのは、
耳から血を噴き出しながらも何とか起きあがった緒方であった。
「お、緒方さん…なのか?その格好は一体…天使?」
「進藤、もう帰って良いぞ…」
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