弄ばれたい御衣黄桜下の翻弄覗き夜話 12
(12)
その門脇の下で、ヒカルがさらに身を寄せ、体を密着させてきた。男の視線に
気付いているヒカルが、恥ずかしげに、その視界から自分の体を隠そうとして
いるのだ。益々深くまでふたりの体が圧着する。互いの陰毛がこすれ合っていた。
「いいじゃねぇか、見せつけてやろうぜ」
ヒカルは黙って首を横に振った。
門脇がもう一度振り返ると、男が去っていくところだった。
女に置いていかれるのは嫌だったのだろう。
その途端、
「――、あぁっ、あっっ、ああ、あっっ!」
生えかけの芝生に組み伏せられたヒカルの唇から嬌声が洩れ始める。
今までは、植え込みの向こうのカップルの存在を気にして声を抑えていたのだ。
だが、その我慢も殆ど限界に近かったらしい。
男の姿が闇に消えるとたちまち、ヒカルの口から、堰を切ったように次々と、
悦楽を訴える声が上がる。
門脇が抽送を早めれば、その声も同じように早くなり、抽送を緩めれば、声の
間隔も伸びた。
「…はっ……、やだ、やだ……門脇さん……っ」
そう言いながら、ヒカルのほっそりとした手は、門脇の肩にかけられ、しっかり
と、その首根っこをおさえて放さない。
「ぅあ……、あ……、あぁっ…、んっ、んっ」
最初は嫌がっていたくせに、ヒカルが今、この状況を楽しんでいるのは明らか
だった。
「お前、男の癖に、こんなことされて感じて、恥ずかしくないのかよ」
「やめて、言わないで…っ…」
鼻に抜ける甘い声。
鋭敏な反応。
ヒカルの足を持ち上げていた手を離し、へその上辺りまでめくれ上がったシャツの
下に滑り込ませた。
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