スノウ・ライト 12
(12)
まつげをふるわせるアキラ王子をオガタはよこしまな思いで見つめます。
2歳から父王に教えられているアキラ王子のテクは、まさに開花しようとしていました。
多くのテク高段者が王子の前に次々と敗れていっているのです。
久しぶりに味わってみるのもいいかもしれない、と思いながらオガタは王子の頬に手を
そえようとしました。ところがそこへ勢いよくアマノが入ってきました。
「王子! ヒカル姫は義母に殺されたという噂が隣国で流れています!」
「何だって!」
ガタッ、と王子は椅子を鳴らしました。
「そんな、そんな、殺された……? つまり、姫はもうこの世にいない……?」
倒れそうになる王子をオガタは支えます。
「アマノ、そんな不確かな情報で王子の心を惑わせないでくれ」
邪魔されたオガタは不機嫌で、思い切りアマノを睨みつけました。
「は、はいっ。申し訳ございません」
ふとオガタは思い出したように言いました。
「そう言えばネットで、とても愛らしい姫が七人の小人の小屋にいるとあるのを見たな」
とたんに王子は血相を変えました。
「なぜ黙っていたのです!」
「表に出てこない者に興味は持てん」
アキラ王子は歯を食いしばりました。そんな王子を見て、オガタは大きく息を吐きました。
「行ってみようか」
するとアキラ王子は顔を輝かせました。
王子はどこまでもヒカル姫しか見ていないのでありました。
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