肉棒だらけの打ち上げ大会 12 - 13
(12)
確かにイイ人だと思う・・・でも、どこかズレている伊角が和谷はとても
悲しかった。
そんな和谷の気持ちも知らずに伊角は、さも美味そうによっちゃんイカを
味わっていた。
「よっちゃんイカ最高だよな〜。
あっ、そうだ和谷。あとカリカリ梅に黒飴あるけど食べるか?」
「―――オレこのよっちゃんイカだけで充分だよ・・・」
「そうか? 遠慮はするなよ」と、伊角は和谷に微笑んで視線を再度、
川に向ける。
そしてまたニンマリと不気味な笑顔を浮かべ、クククッと口端から声に
ならない笑い声を洩らしている。
──伊角さん、また別の世界にトリップしちゃってるよお。
「プププ・・・・・・・・・・・・・・・・・・グヘッ」(伊角の笑い声)
──い、いっ、いっつ、いったい何を考えているんだ、伊角さーん!!??
激しく異次元なお世界へ逝っている伊角の側で和谷は、目や鼻から汁を
垂らして、ガクガクブルブルと体を震わせた。
思考回路が崩壊寸前な和谷の側で1人アヤシイ世界に浸っていた伊角の顔が
見る見る青ざめていき、いきなり川原に倒れ込んだ。
異変にすぐ気がついた和谷は、心配そうに伊角の様子を伺う。
「わ、和谷・・・・・・・今いきなり持病の腰痛が再発した・・・あいだだだ〜!!」
「うわあ、いきなり話に脈絡ねえネタできやがったか伊角さん!?」
「はうぅっ、こ、今度はリューマチが痛みだ──し──た──あ──!!!」
(13)
「ぎゃああああー、しっかりして伊角さん!?
腰痛にリューマチってなんかネタかぶってるぜ。
ネタ切れか、もうネタにつきたのか?
ああ、もうそれはどうでもいいや。
ここの温泉って間接痛や腰痛とかに効くって聞いたよ。
伊角さん、急いで温泉に入ろう! きっと良くなるよっ。
でも、すげえムリヤリな展開でオレ、かなり鬱」
「死ぬウゥ、死ぬウウ〜、助けてくれえええ〜」
「しっかりして伊角さぁぁ―――ん」
半ベソかきながら和谷は、ミスター若年寄・伊角を担いで施設内にある温泉浴場
へと足を向けた。
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