身代わり 12 - 14


(12)
冴木にのしかかるようにして、ヒカルは雑誌をめくっていく。
ヒカルの体温を背に感じたまま、冴木は身動きできない。
密着したところを意識してしまう。雑誌を渡せば済むのだが、それができない。
もっとひっついていたいと、心のどこかで思っている。
「う、わっ」
突然ヒカルが素っ頓狂な声をあげた。見るとグラビアアイドルの水着ページが開いていた。
冴木は軽く笑った。それまでの緊張がすこし解けた。
「へぇ、進藤こんなので悲鳴あげるんだ? 純だなあ〜」
「ち、違うよっ」
佐為が大声を出して、それに驚いたのだ。ヒカルだってこの程度の写真は平気である。
しかし佐為は何度見ても、動揺するのだ。
(佐為〜っ! いいかげんにしろよっ)
《でも女子がこのように、恥じらいもなく身体を見せるのは……》
そう言いながら、頬を赤らめている。ヒカルはため息を吐きたくなってくる。
「どうしたんだよ、かたまって。ん〜?」
冴木は身体を反転させ、腕のなかにヒカルを抱きしめた。そのとたん、後悔した。
予想以上に細い。自分がヒカルくらいのときは、もっと体格が良かったと思う。
「冴木さーん、放してよっ」
もがくヒカルを逃がしたくなくて、冴木は腕に力をこめた。
「進藤ってあったかいなあ。ちょっと温めてよ」
「ひゃっ! 冷てっ!」
首に手を当てられ、ヒカルは身体をすくませた。それがますます冴木を煽る。
男にするべきではないことを、したくなってくる。
それを自覚して、冴木は愕然とした。
「冴木さん! いいかげんにしてよっ」
ヒカルは頬をふくらませて、冴木に向き直った。瞬時に軽い怒りが消えた。
目のまえに冴木の唇がある。
この距離にヒカルは既視感を覚えた。これは、いつも佐為と――――
無意識のうちにヒカルは冴木の肩に手をかけていた。


(13)
いきなりヒカルの表情が変わった。
さきほど横から見た、あのうっとりとした瞳がいま、真正面にある。少し茶色がかったそれ
は、吸い込まれそうな透明さがあった。
冴木はヒカルの腰に手をまわした。なんと細いのだろうか。そのまま下にすべらせていく。
すべてが無意識のうちの挙止であった。
「あ」
ふとももを撫でられて、ぞくりとした。それは佐為では感じることのできないものだった。
この先を知りたくて、ヒカルは軽く足をひらいた。
すると、遠慮がちに冴木の手が内側にすべりこんできた。
「……っ」
ヒカルの息を飲む声が聞こえた。嫌がっていない、むしろ待ち望んでいるのだ。
そう思った冴木はゆっくりとそこを揉んだ。てのひらに返ってくる弾力を楽しむ。
押さえられている肩に力を感じた。潤みを帯びた目で見つめられる。
(ヤバイ。ほんとうにヤバイぞ)
そう思いながらも、やめることができない。とうとう手はヒカルの股間にたどりついた。
ゆるめのジーンズの上からでも、勃起していることが分かった。
《ヒカル! いいかけんにしなさいっ》
(だって、気持ちいい……)
佐為は歯噛みした。新初段シリーズ以来、ヒカルの性衝動は顕著なものとなっていた。
そんなときに、塔矢アキラとの対局日が決まった。
するとタガが外れたように、ヒカルは毎夜毎夜、佐為に自慰行為をせがむようになった。
佐為はそれに懸命に応えた。しかしそれでもヒカルはさらなる愛撫を求めてきた。
満足させることのできない自分が、恨めしかった。
だが今はヒカルが恨めしい。自分しか知らなかった声を、他人に聞かせている。
「はっぁ……んぅん……」
ヒカルが身体をくねらせた。
《……あなたは、わたしではなくてもいいのですか……》
ヒカルは首を左右に振った。決してそんなことはない。しかしどうしても直接あたえられる
刺激をこばむことはできなかった。


(14)
すでにジッパーは下ろされ、下着越しに冴木の手を感じていた。そこはもう湿っている。
さらに大胆に冴木が触れてくるが、ヒカルはその快楽に溺れきることができなかった。
(……オレだって……佐為が……佐為じゃなくちゃ……)
ヒカルは自分を哀しそうに見下ろしている佐為に必死に言いつのった。
(佐為……ゴメン、佐為……)
泣きそうな声が佐為の耳に届く。
《ヒカル……》
冴木の手によって喘がされていても、ヒカルは佐為を欲していた。
そのことがわかった佐為は、こだわりを捨てた。
冴木の背後にまわり、ヒカルにくちづけた。そして手を、冴木のそれにかさねた。
《冴木さんはわたしの代わりです。そう思いなさい》
白くてなめらかな手が、自分に触れる。
それを見た瞬間、ヒカルは冴木の存在を忘れた。
「ひぁっ! はんっぅ!!」
いきなりヒカルの反応が強くなった。
それに気を良くした冴木は本格的に身を入れることにした。
自分の肩をつかんでいるヒカルの腕をとり、畳へと押し倒した。
冴木はすでにここがどこかも忘れ、誰かが来るかもしれないという危惧さえしなかった。
「きついよな、ココ……」
言いながらジーンズのぼたんを外して、下着と一緒に足首までずり下げた。
ヒカルの抵抗はなかった。
現れたそこは冴木から見れば無毛と言ってよく、嫌悪感は湧かなかった。
くっ、と皮を剥いて先端を出してやる。そしておそるおそる舌を這わせた。
「やぁっ……んっ!」
ずいぶんとかわいい声を出す。そこらの女より、ずっとそそられる。
こぶしの中にペニスを収めると、舐めながら優しくしごいた。
生温かい舌の感触に、ヒカルはたまらず声を上げつづける。
ヒカルの身体は素直だった。と言うよりも、非常に幼い。なにをしても感じるようだ。



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