初めての体験 Asid 12 - 16
(12)
ボクは、濃いめのコーヒーを入れ、その中に砕いた錠剤を落とした。ワクワクする。
ごめんね。芦原さん。
にっこり笑って、カップを差し出した。
「うっ!苦いな…」
芦原さんは顔を蹙めた。
「ごめん。水の加減間違えたみたいで…」
如何にも申し訳なさそうに言う。ホントは、口先だけなんだけどね。
芦原さんは、「いいよ、いいよ」と笑顔で答える。うぅ…胸が痛い。こんなボクにも、
一応、良心らしきモノはあるらしい。でも、やめようと思わないところが、ボクのボク
たる所以だなあ…。
芦原さんはボクに気を使ってか、苦いコーヒーを残さずに全部飲み干した。よしっ!
ガッツポーズは心の中で!後は、薬が効いてくるのを待つのみだ。
ボクは芦原さんに対局を持ちかけて、その間、効果が現れるのを待つことにした。
碁を打っている途中で、芦原さんの身体が大きく揺れた。
「あれ…?」
「大丈夫ですか?芦原さん…」
畳の上に手をついて、身体を支える芦原さんに白々しく声をかけた。芦原さんの息は荒く、
苦しそうに胸を押さえている。これは…マズイ…かな…?背中をさすりながら、芦原さんの
様子を観察した。
俯いている芦原さんの顔を覗き込むと、頬は赤らみ、目が潤んでいた。口は半開きで、
そこから切なげな吐息が漏れていた。よし!いける!ボクは、芦原さんを横たえると、
シャツのボタンを一つずつ外していった。
「アキラ…?」
「苦しいんでしょう?服を緩めた方がいいですよ。」
ボクの言葉に、芦原さんは素直に頷いた。ズボンのベルトに手を掛けたときでさえも、
逆らわずにじっとしていた。
(13)
芦原さんの衣服を弄りながら、ボクは考えた。全部脱がして縛るのと、衣服を一部つけたまま
とでは、どちらがイイだろうか…。ボクとしては、一部だけ身につけるというのが、
どうもソソるような気がする。
ボクは、シャツはそのままにして、芦原さんのズボンと下着をずり下げた。
「ア、アキラ―――――!?」
これには、芦原さんもさすがに慌てて、起きあがろうとした。だが、力が入らないのか、
すぐにくたりと倒れてしまった。それをいいことに、ボクは、彼の下半身を完全に裸にした。
芦原さん自身は、もう勃ち上がりかけていた。それは、進藤のモノとは違って、大人の
男のモノだった。何だか、興奮してきた。ボクが、そっと触れると、芦原さんの身体がビクッと
震えた。
「ふぅ…ん…」
手の中のモノをゆっくりと上下にさすると、芦原さんが、鼻から抜けるような息を吐いた。
「気持ちいい?」
芦原さんを弄びながら、目を覗き込んだ。彼は、顔を赤らめ目を逸らした。そして、
ボクから逃れようと力無く抵抗を始めた。
「や…やめてくれ…たのむ…」
その言葉とは、裏腹にボクの手の中のモノは、熱く猛っている。それなのに…だ。
ああ、そうですか。嫌ですか。少し、意地悪をしたくなった。本気で言っているわけでは
ないことは、わかっている。
ボクは、彼から一旦離れた。
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その途端、芦原さんが弾かれたように顔を上げて、ボクを切なげに見つめてきた。
「どうしたんですか?お望み通りでしょう?」
意地が悪い。彼の本当の望みはわかっているのに―――――
ボクは、ニヤニヤ笑って彼を見た。芦原さんがそれを口にするまで、ボクは彼には
触れないつもりだ。
芦原さんは何かを言いかけては止めるを、何度も繰り返していた。薄い紅色に染まった
太股を堅く閉じ、両の手で身体を掻き抱くように震えている。なかなか、色っぽい風情だ。
芦原さんも、こうしてみると結構いいかも……。まあ、ボクの進藤には及ばないけどね。
どれくらいそうしていたのか…暫くして、芦原さんは、潤んだ瞳をボクに向け、吐息の
ように密かな声で訴えた。
「アキラ…たのむ……してくれ…」
ボクは、「何を?」とは訊かない。芦原さんから、その言葉を引きだしただけで、とりあえずは
満足だ。だって、これからもっと酷い目にあう彼を、これ以上虐めては可哀想ではないか。
「ボクがそのお願いを訊いたら、芦原さんもボクの頼みを訊いてくれますか?」
芦原さんは、必死に頷いた。
「ホントに?」
「きく…何でもきくから…たのむ…」
涙を含んだ声で、途切れ途切れに訴える。やった…!それでは、本人の了解も得たことだし、
ちょっと練習させてもらおうかな。
ボクは、ベッドの中に隠した物を引っぱり出した。
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しかし、彼はボクの手に持っている物を見て、真っ青になり這って逃げようとした。
何でも訊くと言ったくせに…。もっとも、本人は逃げているつもりだろうが、力が
入らないためか、最初の場所から三十センチと移動できていない。
ボクは、後ろから彼をしっかりと捕まえ、自分の方へ引き寄せると耳元で優しく囁いた。
「大丈夫ですよ…何度も練習したんですから…人間相手は初めてだけど…」
耳を軽く噛んで、胸元に手を這わせた。芦原さんの身体がビクッと震えた。それだけでもう、
切なげな吐息が、口から漏れた。うん?可愛いじゃないか……。ボクは、唇と舌で彼の
首筋を愛撫しながら、胸の辺りを彷徨わせていた手を徐々に下ろした。
「はぅ…!」
芦原さんの身体が小刻みに震える。ボクが、芦原さん自身を弄び始めると、喉を仰け反らせて
悶えた。
「ああ…アキラぁ…」
もう完全に、身体をボクに預けている。芦原さんの息遣いが、密着した部分から伝わってくる。
ボクは、もう片方の手に持っていた物を、芦原さんの目の前にかざした。それを
両の手に持って撓らせる。パシ、パシと小気味いい音がした。どんな顔をして、それを
見ているのだろうか―――――怯えていることだけは、はっきりわかる。
「じっとしてください…」
後ろから抱きしめるように、手を交差させていく。
「あ…あ…やめ…」
怯えた拒絶の言葉とは裏腹に、芦原さんの表情は、少しずつ陶酔に彩られていく。
薬もよく効いているらしい。いい感じだ。
ボクはまだ初心者だし、最初は簡単なヤツにしておこう。記憶を頼りに、手に持った物を
交差させ、くぐらせる。所々で玉を作り、強弱をつけ、形を作っていった。最後に
キュッと絞り上げる。
ボクは、芦原さんの姿を、改めてじっくり見た。初めてにしては、なかなかの出来では
ないだろうか?ああ、興奮する。これが進藤だったら、ボクは鼻血を噴いて昏倒して
しまうだろう……やはり、経験を積んでから、本命に挑むべきだな。うん。
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ボクは、自分の指を丹念にしゃぶった。そして、十分に湿した後、その手を芦原さんの
後ろに回した。尻の割れ目に沿って、ゆっくりと這わせる。彼はその意図に気がついて、
一転、抵抗を始めた。だが、ボクは気にせず、行為を続行した。
だって、どのみちボクは途中で止めるつもりはないし、こうしておかないと痛いのは、
芦原さんなんだから。大サービスだよ。彼の中に指を沈めた。
「あああぁぁ!いやだぁ!」
芦原さんは、ボクから逃れようと身体を捩らせ、前に倒れてしまった。ボクの目の前に、
芦原さんのすべてが晒される格好になってしまっている。ますます、好都合。
「はぁあ!やめてくれ…あぁ……はぁん…あん…」
ボクの執拗な指の動きに、芦原さんは陥落寸前だ。もう、十分だろう。ボクは、芦原さんに
自分自身を押し当てた。
「……!ア…アキラ…?」
怯えた声が耳に届いたが、無視した。ボクは、そのまま躊躇うことなく、前に進んだ。
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