初めての体験 120


(120)
 ヒカルは慌ててドアを閉めようとしたが、それより早く、永夏は強引に部屋に入ってきた。
茫然と立ち尽くすヒカルを横抱きにして抱え上げると、そのままベッドに連れていった。
 永夏は、ヒカルをベッドの上に組み敷いて、真上から見下ろしている。
「な、なんだよ!離せよ!」
永夏の目的は明らかだ。この状況でわからない方がおかしい。絶対イヤだ。いくら強くても
永夏はそういう対象ではない。彼は、ヒカルの大好きな佐為を貶したのだ。ヒカルにとっての
永夏の認識はあくまでも“敵”だ。“好敵手”ではない。
 ヒカルは逃げようと藻掻いたが、永夏の足と腕でがっちり拘束され身動き出来ない。
「や、離せよ!はな……う…」
永夏はヒカルの唇に無理やり、自分のそれを押しつけた。ヒカルは唇を食いしばって、
永夏を拒む。
「う…うぅ…ん…はぁ…」
しなやかな指が、ヒカルの身体を無遠慮にあちこちまさぐり始めた。
「や…んぁ…」
ヒカルが喘いだ瞬間を逃さず、舌が侵入してきた。
 頭の中が真っ白になった。永夏の愛撫は巧みで、ヒカルに抵抗を許さなかった。永夏の手が
首筋を彷徨い、手際よくネクタイを外した。シャツのボタンを弛め、その中に手を差し入れる。
「やだ…やめて…やめて……」
泣き始めたヒカルの耳元で永夏が何かを囁いた。何を言っているのかはさっぱりわからないが、
言葉の意味はわかる。アキラや社がやるように、甘い睦言を囁いているのだろう。そのまま、
耳を甘噛みされる。
「いや…!」
背筋を奔る甘い痺れに仰け反る喉元に、今度は吸い付かれた。
「もう、やめてよ…」
胸を嬲っていた手は、いつの間にか下半身に移動していた。
 もう何も考えられなかった。何か金属のぶつかるような音が耳に届く。ヒカルは、身体を
捩ろうとしたが、簡単に押さえ付けられた。永夏が、ズボンのベルトを勢い良く引き抜いて、
ズボンを下着ごとずり下ろした。
「イヤ!」
ヒカルはギュッと目を閉じた。



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