初めての体験 秀英・永夏 (2)
(126)
ヒカルの腰を強く抱き、自分のモノを突き入れる。
「あ―――――――――――!」
ヒカルは、高い悲鳴を上げた。
「あ――あ、あ、あ、やめて…やめてぇ…」
ヒカルはすすり泣いた。嫌いなヤツに好き勝手に扱われるなんて、惨めで悔しい。
力一杯抵抗したのに、簡単にあしらわれてしまった。しかも、こんなに嫌いなのに、
身体の方は勝手に反応してしまう。
「やぁ、いやぁ…やめて…」
永夏が、ヒカルの背中に覆い被さり、耳元で何か囁いた。
「……え?なに?あぁん…いやだぁ…」
ヒカルを責める動きが早くなった。ヒカルは、声を上げることもできない。喉の奥が
ヒューヒューと鳴った。
もう少しでイッてしまう……!そう思ったとき、突然、ヒカルの中から熱いモノが
引き抜かれた。
「ひゃあん…!」
その衝撃で、ヒカルは放ってしまった。
と、同時に背中に熱い飛沫を感じた。永夏が、ヒカルの背中に射精したのだ。
「あ、あ…イヤァ――――――――――――――!」
間隔を開けず、何度も叩き付けられる。
「イヤァ、イヤァ!やめてよぉ…」
その間ヒカルは、ずっと泣き叫び続けた。
(127)
永夏は、ヒカルの中に再び自分を埋めると、華奢な背中に浴びせかけたモノを全身に
塗りたくり始めた。
「ヤダ、やめて、やめてぇぇ…!」
ヒカルは、声を限りに叫んだ。
『こんなのヤダ!』
永夏は、やめてくれない。まるで、ヒカルが自分の所有物であるかの様だ。
―――――マーキングされてるみたいだ……オレは、オマエのもんじゃねえ!
そう言いたかった。……が、それはできなかった。
永夏とヒカルの痴態に興奮した秀英が、ヒカルの口元にペニスを押しつけてきたのだ。
「…進藤…ゴメン…ボクの舐めて…」
上擦った声で懇願する秀英から、顔を背けようとした。だが、後ろから、永夏に顎を掴まれ、
無理矢理口を開けさせられる。すかさず、秀英の熱い昂ぶりが、押し込まれた。
「!!うぅ…!」
秀英は、ヒカルの頭を抱え込み、闇雲に腰を押しつけた。後ろからは、永夏が容赦なく
串刺しにした。
苦しくて息ができない。涙が止まらなかった。早く解放して欲しい。
「ああ、イクよ…!」
喉の奥に、熱いモノが叩き付けられ、青臭い味が口いっぱいに広がっていく。秀英は、
糸を引くペニスをヒカルの口から引き抜いた。ヒカルは、咽せた。口の中のモノをはき出そうと
激しく咳き込んだ。
しかし、そんなヒカルを労ることもせず、永夏は、思い切りヒカルを突き上げた。
「あ、あ、あぁ、あ――――」
永夏の熱を感じたその瞬間、ヒカルの意識は遠のいた。
(128)
気がついたとき、ヒカルは、ベッドで永夏と秀英に抱かれて眠っていた。
『何で、コイツらと川の字に寝てるんだよ…』
ぼんやりとした頭で考えた。そして、「あっ!」と、小さく声を上げると、慌てて起きあがり、
自分の身体の匂い嗅いだ。永夏に精液を塗り込まれたのを思い出したのだ。あの独特の
匂いはしない。代わりに甘い花の香りがした。
「起きたの?進藤…」
秀英が目を擦りながら、起きあがった。
「オレ…風呂に入ったっけ…?」
「覚えてないの?」
そう問い返されて、ヒカルは、飛んでる記憶を慎重にたぐり寄せようとした。目を閉じて、
一から順番に辿っていく。だんだんと、思い出してきた。
半分気を失ったヒカルを永夏は抱き上げて、浴室に連れて行ってくれた。狭いユニットバスで
秀英に身体を支えられながら、永夏に身体を洗われた。ボディーソープを泡立てた掌で、
身体中を擦られた。
「あ…いや…」
永夏の指先が、胸の先端に触れた。思わず漏れたその声に、永夏の口元が微かに上がった。
大胆に突起を摘み、捩り上げた。
「ひっ」
仰け反った身体を秀英が抱き留めた。永夏の指は、傍若無人にヒカルの肌を滑って行く。
ガクガクと震える足の間に、指を埋め込まれた。
「あっ!ヤダ!」
「―――――」
永夏が、ヒカルにはわからない言葉で何かを告げる。
「中のモノを出すんだって…」
後ろから、秀英が通訳した。冗談じゃない!そんなこと自分でできる。身体を捩ろうと
藻掻いたが、力が入らない。
指が蠢く。
「くぅ…あぁん…」
中を掻き回されて、ヒカルは身体を硬直させた。
「あ………」
今度こそ、ヒカルは完全に気を失ってしまった。
(129)
怒りと羞恥で頭に血が上った。すべて思い出してしまった。大ッ嫌いな永夏に抱かれてしまった。
その、ことの元凶は……。
「秀英のバカ!なんで、永夏なんか連れてくるんだよ!」
せっかく、二人で楽しもうと思ったのに……。秀英は、ヒカルの剣幕に押されながらも
説明した。
「ご、ごめん…自信がなかったから…」
「自信?自信って何だよ?」
「進藤を満足させる自信だよ…」
秀英は、恥ずかしそうに俯いた。ハァ?何を言っているんだ?
「最初は、永夏にやり方だけ教えてもらうつもりだったんだ…でも…」
秀英の言い分はこうだった。永夏曰く、ヒカルは可愛いから、ほかのヤツが放っておかない。
きっと、いろいろ経験済みだ。うまくやらないと嫌われる。
純情な秀英は青くなった。経験不足の自分では、きっとヒカルは満足しない。嫌われて、
口も聞いてもらえなくなるかもしれない。
「それで、永夏が手伝ってくれるって…」
ヒカルは、絶句した。なんて狡猾なヤツなんだ……!チェリーボーイの不安を利用するとは…
でも、やっぱり…一番、腹が立つのは……
「秀英のバカ!」
ヒカルは、手を振り上げて秀英を引っぱたこうとした。
(130)
そのとき、後ろからやんわりと腕を掴まれた。そのまま、引き倒され、永夏の腕の中に
抱き込まれた。
「わ!なにすんだ!」
ヒカルが「離せ」と藻掻けば藻掻くほど、ますます腕に力を込める。くすくすと笑いながら
ヒカルの鼻先にキスをした。永夏の手が、ヒカルの身体を無遠慮に這い始める。
永夏は、日本語で「カワイイ」と繰り返した。
ヒカルがいくら抵抗しても、永夏は軽く去なしてしまう。全く歯が立たなかった。
「う………うぅ…うぇぇ…」
ヒカルは本気で泣き出してしまった。
永夏も、さすがに驚いて手を離す。ヒカルは、するりと永夏の腕の中から逃れると、
床に散らばったままの服を拾い集めた。ヒックヒックとしゃくり上げながら、一枚ずつ服を身につける。
最後にネクタイを拾い上げると、ポケットにねじ込んだ。ヒカルは、ネクタイが結べないのだ。
「進藤…」
秀英が心配をそうに声をかける。ヒカルは、キッと二人を睨み付けた。それから、
「オマエらなんか大ッ嫌いだ!」
と、一声そう叫び、泣きながら部屋を出て行った。
(131)
涙をぽろぽろ流したまま廊下を歩いていると、向こうから歩いてきた趙石がびっくりして立ち止まった。
恥ずかしい。泣いているところを見られてしまった。ヒカルは、手の甲で慌てて涙を拭いた。
趙石はどうしたらいいのかわからなかったらしく、困惑しながら笑いかけてきた。その
チャーミングな笑顔に、ヒカルもつられて半べそかいたまま、笑い返した。
最初は、見とれて惚けていた趙石の顔が見る見る赤くなっていく。そして、そんな自分に
気づいた途端、そのまま走り去ってしまった。
ヒカルはその後ろ姿を見送りながら、『いけるかも…』と、思った。だけど、追いかける
つもりはなかった。
「また、人数増えてたら困るもんな…」
でも、通訳に楊梅さんとか来たらどうしようと、思いながらも……楊梅さんなら、ちょっとイイかな…
と考えてしまった。自分は全然懲りてない。
「戒めのためにとっとと手帳に今日の戦果をつけておこう。」
高永夏…軽い外見の割には研究熱心。強い。さすがに、韓国若手ナンバーワンを自負する
だけのことはある。
でも、オレはオマエなんか大ッ嫌いだ!
洪秀英…技術的にはまだまだ未熟。だが、探求心は旺盛で、努力家。今後に期待大。
おまけ
(132)
おまけ
「わっ!」
廊下を曲がろうとして、趙石とぶつかってしまった。彼の顔は真っ赤だった。
「ゴメンナサイ」
アキラに一言そう謝ると、彼は走って行った。
「何を慌てていたんだろう…」
走り去る華奢な後ろ姿を見ながら、『たまにはああいう純情そうなのも良いな…』と
考えた。アキラの鞄の中には、つい先日手に入れたばかりのエネ○グラが、入っていた。
「ホントは進藤に使いたいんだけどな…泣いちゃったらイヤだし…」
趙石は純情そうなところがヒカルとかぶる。新しいオカズになるかもしれない。
邪なことを考えていると、後ろから声をかけられた。
「趙石がどうかしたのかい?」
振り向くと楊梅が立っていた。
「いいえ…ちょっとぶつかっただけです。」
アキラはにっこりと笑った。
「それより、もしお時間があれば、中国の事をいろいろ教えていただけませんか?」
「ああ、いいよ。じゃあ、オレの部屋に行こうか?」
「いえ、できればボクの部屋で…」
楊梅は、快く承諾してくれた。先に立って歩く彼の後ろを、黙ってついて行く。
『…アレってどれくらい効くのかな…楽しみだ…』
知らず、笑みが零れた。
終わり
|