Shangri-La 13


(13)
執拗に唇を吸われ、舌で愛撫を施されているうちに、アキラの思考は停止していた。
緒方の香りが、ヒカルのものととても良く似ていて
その香りの記憶に安心してしまったのかもしれない。
――もっと…もっと欲しい……
アキラは緒方の首に両腕を回し、下半身をすり寄せながら
自ら舌を緒方に差し入れ、搦め合った。
シャツの裾から進入した手が、素肌をまさぐる感触が嬉しかった。
胸の突起を捏ねられ、走る一瞬の快感に反応する。
緒方はアキラの首筋を舌でなぞり始めた。唇を開放され、呼吸が楽になった。
(――違う!?)
吸い込んだ香りは、アキラが期待していたヒカルのそれとは違って
もっと硬質で、ヒカルの香りの暖かさを無機質なものでくるんで覆ったようだった。
香りの違いに驚いたことで少し気持ちが冷え、わずかに思考が戻った。
(そう言えば、緒方さんと海に来てたんだった…)
緒方とはもう終わらせたはずなのに、懲りずに欲情している自分が嫌だった。
逃げたいと思うのに、無意識のうちに身体を捩らせ、緒方を求めている。
アキラは、激しく緒方を求めるまま、眉根を寄せゆるゆると頭を振った。
快楽に身を乗っ取られた自分に出来る、せめてもの抵抗だった。

「今、何を考えていた…?」
緒方の動きが止まった。口調も少し鋭い。
ヒカルを思い、緒方を拒絶したい気持ちの横でアキラは緒方を求めて、
身体をさらにすり寄せた。
「あ…ん、…やめないで……もっと…しようよ……」



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