Shangri-La第2章 13
(13)
「わぁ……」
怒りに任せて寝室のドアを勢い良く開けたアキラだったが、
ベッドを見て思わず感嘆の溜息を漏らした。
シーツも、揃いの布団カバーも、ここに良く来ていた頃のお気に入りだった。
おねぇさん達の誰かが持ち込んだ、少し良いものらしいが
緒方は興味がなく無造作に扱い、使っていた。
本当は緒方が朝、シーツを替えたときに、
リネン棚の一番上にあった物を使っただけなのだが
それに気づかないアキラは、ただ嬉しく思った。
(緒方さん、もしかしてまだ覚えててくれたのかな……)
アキラはそっとドアを閉めると、バスローブを脱ぎ捨て
そのままベッドに潜り込んだ。
全身で感じるその肌触りは変わることなく気持ち良くて
あっという間にアキラは眠りについた。
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