白と黒の宴2 13


(13)
「んっ…ふっ…ん…」
社の荒々しい呼吸と、激しいキスの合間にアキラが空気を求めて喘ぐ吐息が混じり合う。
縦に横に、社は角度を変えてアキラの唇を様々な形で吸う。
何度も重ね合わし、アキラの舌を吸い取り、舐め上げ、自分の舌でアキラの口の中を探る。
そうしてようやく気が済んで落ち着いたかのように顔を離した。
社の両手で頬を包まれ顔を押さえられたアキラは社の手首を掴み、嫌悪感も露に上目遣いに睨み返す。
そんなアキラの表情さえも社は愛しくてたまらないというように上機嫌な様子で、そのアキラの
手を振払うと腕を掴んで浴室に連れて行き、バスタブの底に球体の栓を落として湯をはり始める。
そしてアキラを抱き寄せ額や頬、唇、首筋へキスを重ねながらアキラの服を脱がしにかかった。
脱衣所に戻るのももどかしそうにその場で剥いだものを浴室のドアの外へ放り投げて行く。
そうしながらも社は掴んだアキラの腕を一向に離そうとしなかった。

数分後、入浴剤とジャグジーで泡立てられた浴槽の中に裸の二人は居た。
浴槽の縁に頭を乗せて横たえられたアキラの体に社の大きな体が覆いかぶさり、アキラの唇を貪る。
丸い浅い浴槽は殆ど二人の姿を覆い隠すように白い泡が立ち篭めていた。
二人の肩は、同性のものとは思えない程対照的に片方は白く細く華奢なラインで、片方は
日に焼けた褐色で逞しく筋肉が貼り付いている。
唇を奪う一方で社は褐色の腕でアキラのその白い肩を抱き、もう一方の手で泡の中で
アキラの体のあらゆる部分を撫で回す。
高価な芸術品を愛でるようにじっくりと手のひらでアキラの体のパーツを確かめていく。



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