失着点 13 - 14


(13)
「あ、やああっ…!う、うう…んんっ!」
ヒカルには今自分の体に何が起こっているのか分からなかった。
内部のものを体外へ排出する役割しか持っていないはずの器官は次第に
外界からの侵入物を受け入れ、奥に取り込もうとする動きを見せ始めた。
狭道を行き来する指は2本に増やされていた。
アキラは指を挿入したまませりあがって体位を変え、自分の腰をヒカルの腰に
あてがう。アキラ自身、これ以上はないくらいに張り詰めていた。
アキラはヒカルからゆっくり指を引き抜くと、その反動で体内に向かう
筋肉の動きに添わせるようにして自分の先端を入り口に押し当てた。
「あ…っ」
熱い、とヒカルは感じた。
今までとは違う質量を持った侵入物にヒカルの体は拒否反応を示した。
だが熱を持った侵入物はほとんど力を持たない抵抗勢力を無視して
狭道を押し広げていく。
「痛っ…うう…ん!!」
「拒もうとするとダメなんだよ。ヒカル…。」
腰を重ねてヒカルを背中から抱くような姿勢になったアキラが耳元で囁く。
熱く荒い呼吸と共に。
アキラももう限界点に近かったが、ヒカルの深部への執着で制していた。
細胞の一つ一つが限界まで引き延ばされ悲鳴をあげる。
「お願…い、塔…矢、もうゆるし…」
アキラはヒカルの肩や腰を腕で固定し、二人の体の間合いを一気に詰めた。


(14)
「あああっ!」
ヒカルは咽の奥から絞りあげるような悲鳴を発した。
「ああ…!、ううっ!、くっ!…ううーん…!」
あまりの激痛に目の前が真っ白になり、両手でシーツを握りしめる。
「ううっ!んっ!」
ほぼ同時に背後でアキラが声を漏らした。
爪が食い込む程にヒカルの体を強く抱き締め、ビクンッと激しく痙攣する。
ヒカルは腸内に温かなものが広がっていくのを感じた。
指も届かなかったヒカルの深い場所でアキラも到達したのだ。
これでやっと終わる。心臓が脈打つ毎に強まっていく痛みの中でそう思った。
「…気…が済んだ…か?塔…矢…。」ヒカルは背後のアキラに声をかける。
だがアキラは答えず、なかなかヒカルを離そうとはしなかった。
それどころか却って腕に力を入れ、繋がった下腹部も密着させたままだった。
その部分と背中を通してアキラの鼓動がハッキリと伝わって来る。
今、自分はアキラと繋がっている。
互いにずっと心の奥のどこかで密かに持っていた願望。
それがようやく実現したのだ。そのことにヒカルも満足していた。だが、
痛みも疲労もピークをとうに越えていた。
「…頼む、塔矢…、抜い…て…。…オレ、…もうマジに限界…。」
「…だ。」
「…え…?」
「まだ…てない…。」
質量を落としかけていたヒカルの体内のアキラ自身が、ドクンと脈打った。



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