昼下がりの遊戯 13 - 14
(13)
アキラは、部屋の隅に置かれている碁盤に目をやった。そして、盤の上に置いてある
碁笥を手にとって眺めた。
『賭…?』ヒカルは、ぼんやりとアキラを見つめた。中途半端に煽られ、
頭がまともに働かなかった。ヒカルには、アキラの意図がわからなかった。
「ねえ、進藤…これを使って、賭をしよう。」
アキラは、碁笥の中から碁石をとりだして、ヒカルに笑いかけた。
(14)
「黒石だったらナス、白石だったらゴーヤ。どちらか一つだけ、進藤が
とった方にしよう。」
アキラはそう言うと、白と黒の2つの碁石を口に含んだ。
そしてヒカルにくちづけした。
「ん…ん…」
重ね合わせた互いの唇の中で、まずヒカルの口の中に2つの石が移動する。
そうして今度は、そこから一つの石がアキラの口の中に戻された。
お互い自分の石を舌の上に乗せて口を開き、見せあった。
「あ…」
ヒカルはアキラの口元を見て少し動揺し、逆にアキラは嬉しそうに笑みを浮かべた。
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