検討編 13 - 15
(13)
「自分がやるのはいいがやられるのは勘弁してくれだって?
そんな自分勝手な理屈が通るとでも?」
「え…それは、でも、」
にっこりと笑ってみせながら、ヒカルの顔を覗きこむ。
「大人しくされるがままになっているようなボクだとでも、思ってた?」
どっきん。
そんなカオを、間近に近づけないでくれ。
こ、こえぇよ。こえぇけど、でも、なんかすんごいイロっぽい、て言うか、うう。
「…えと……怒ってんのか…?塔矢…」
「怒るに決まってるだろう。」
「オレのコト、キライになった…?」
アキラの目がふと和らぐ。
「…嫌いじゃないよ。」
このくらいで嫌いになれるくらいなら、とっくにキミを嫌いになってる。
嫌いじゃない。むしろ。
答えを飲み込んで、ヒカルを見下ろしていると、困ってるような、少し怯えてるようなヒカルが何だか
急に可愛らしく見えて、自然に笑みが浮かんだ。
こうやって見てみると、結構可愛いもんだな。
コレだって。さっきはまるで凶器のように思えたのに、こうしてみるとそうでもない。
そう思って、それを手で軽く弄んでみる。
「え、ちょ、ちょっと、塔矢…っ」
慌ててる慌ててる。ふーん成る程、可愛いじゃないか。
そう思うと更に悪戯してみたくなって、手の中のそれをキュッと軽く握った。
さっき進藤はボクにどうしてたんだっけ?
(14)
>319 の続き
「な、何すんだ、塔矢!」
「何って、さっきキミがした事だよ。キミにばっかりやらせておけるか。」
「って、ダメ、ダメだよ、やめ、やめろ、塔矢、」
「うるさい、黙れ!静かにしろ!」
「うわっ!」
「いい加減に大人しくしないか、進藤。」
ぐっとそれを握り締めたまま、アキラはヒカルに顔を近づける。
間近に迫ったアキラの瞳に飲み込まれて、ヒカルは動けなくなる。
それを見てアキラは軽く鼻で笑って、手元まで顔を下ろしていった。
が、口に含もうとしたそれが、ついさっきまでどこに入ろうとしていたかを考えて、一瞬、アキラは躊躇する。
だがここまで来て「やっぱりやめた」とも言えなくて、零れる粘液で先端を拭うようにしてから、まず根元に
口付け、舌先で触れてみた。何ともいえない苦味と青臭さに顔をしかめる。それでもここで中断するのも
悔しいので、半分意地と自棄のような気持ちで、それを咥えてみた。
(あんまり細かく書くのもめんどくなってきたんで、中略。ごめんよ。)
(15)
「気持ちよかった?」
「……うう…」
「よくなかった?ボクはキミにしてもらってすごく気持ちよかったけど。」
「…う……そりゃ…よかった、けど…」
「それはよかった。」
ヒカルの答えに満足して、晴々とアキラは笑った。
だがそんなアキラの(ちょっと場にそぐわないような)晴れやかな笑顔に、ヒカルはがっくりと肩を落とした。
ああ。ほんのちょっと前までのあのムードはどこに行っちゃったんだろう。
なんでこんなんなっちゃったんだろう。
なんだよ、塔矢の奴。ついさっきまでは目ぇうるうるさせて、半分泣き声で「しんどう…」なんて言ってたくせに、
すんげぇキレエで、色っぽくて、でもって可愛くて、なんかもぉ、オレ、どうしたらいいかわかんないってくらい
だったのに。
なんだよ、コイツ、立ち直り早すぎだよ。可愛くねぇ。クソ。
そりゃあ、そりゃあ確かによかったけどさ、すんげぇよかったけど、やっぱ自分でするのなんかとは全然違うし。
だってまさか塔矢が。
塔矢が?塔矢だぞ?あの、塔矢が。おい、ちょっと待て。信じられるか?あの塔矢が。
う、うわわっ、ヤベェ、思い出したらまた元気になっちゃいそうだ。
っつっても、もっかい、なんて言ったらきっとまた怒る。ましてや挿れさせてくれなんて言おうもんなら。
「なあ、塔矢ぁ、」
呼びかけながら顔をあげたヒカルは絶句した。
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