スノウ・ライト 13 - 15
(13)
第二部中篇が終了しました。ただいまより食事休憩をもうけます。
ラーメンをはじめ、高級寿司、回転寿司、ハンバーガー、カレーライス、ドーナツ、大福、
カステラ、鯛焼きとメニューは豊富にとりそろえております。
たっぷり時間をとりますので、みなさまゆっくりお召し上がりください。
ベルが鳴りましたら第二部後編が始まりますので、ご着席ください。
(14)
じりりりりりり! ただいまより、第二部後編を上演いたします。
森の小人たちの仲は険悪となっていました。
しかしその原因であるヒカル姫は、そういうことに鈍かったので気にしていません。
このころになると、ヒカル姫と仲の良い者も決まってきました。
一番ヒカル姫が懐いているのはワヤでした。ワヤは研究会や碁会所などのデートスポット
にヒカル姫を誘ったりと、涙ぐましい努力をしたからです。
ヒカル姫もワヤのことはまんざらでもないようです。
他の小人たちは、ヒカル姫は高嶺の花、しょせん自分たちごときでは手が届かないと、
もうほとんどあきらめています。
それどころかリタイアする者までいました。イイジマです。
森の小屋に住んでいた七人の小人は、六人となってしまいました。
しかしそんななか、なんとか気を引こうと、ホンダは再度ヒカル姫に挑戦しました。
が、あっさり振られてしまいました。しかも捨てゼリフまでつけられました。
『オレにはもの足りねェぜ!』
ホンダは潔く負けを認めました。
このように、いろいろと問題はありましたが、とりあえずは平和な毎日を過ごしていた
ヒカル姫ですが――――
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お城ではお后様がいつもの質問を鏡の精にしていました。
お后様は今度こそ自分がヒロインだと言ってもらえると思っていました。
しかし正直な鏡の精は偽ることなく言いました。
『それはヒカル姫です。ますます美しくなり、七人の小人の心を掻き乱すヒカル姫こそが
まさにこの物語のヒロインに相応しいでしょう。ハァハァ! ハァハァ!』
「何よそれ! 死んでいないばかりか美しくなっているですって? 冗談じゃないわ!
イスミは何をしてたの? あんたも鏡のクセにハァハァしてんじゃないわよ!」
お后様はイスミを呼びましたが、あいにくイスミは精神修養の旅に出ていました。
「人に頼むんじゃなかったわ。わたしが行くわ」
そう言うと、碁笥の中から碁石を一掴みとり、それを鍋で茹ではじめました。
ぐつぐつと煮える鍋のなかで、白と黒の碁石が浮いては沈んでいきます。
鍋を見つめるお后様の顔は、もはや魔女という言葉がお似合いでありました。
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