甘い経験 13 - 16
(13)
服を脱いだアキラにぎゅっと一度抱きしめられて、ヒカルは裸の皮膚と皮膚が触れる
感覚を味わう。それが熱いのかひんやりしているのか、よくわからない。
だが自分の足に当たる確かに熱いものが何だかわかって、ヒカルはアキラの肩を
掴んだ手に力を入れた。
アキラの手の動きに、唇や舌が与える刺激に、ヒカルの身体は震え、口からは自分
のものとも思えないような喘ぎ声が漏れる。そしてアキラのそれと同じように自分の
モノが熱く高ぶり始めている。時折アキラの腹部がそれに触れ、その度にヒカルの
身体がビクンと震える。
「感じてくれてるんだ。嬉しいな。」
アキラの甘いささやき声がヒカルの耳に届く。
そんな事は、言わなくてもいい。だいたいそうでなくて、どうしてオレの口から、こんな
甘ったるい声が、止めようとしても止められないんだ。
ヒカルを弄るようなアキラの言葉に、だが抗議する事も出来ない。その前に受ける
新たな刺激に、自分の口は抗議の声でなく甘い喘ぎ声を漏らしてしまう。
そしてアキラの片方の手がヒカルの脇腹をつっと撫でながら下りて行って、ヒカル
自信を手中に収めた。アキラの手が優しくそっとそれを包む。
撫でさするようなゆるやかな片手の動きとは裏腹に、アキラの唇はヒカルの乳首を
舌先で強引に弄り、歯を立てる。緩やかな愛撫の後の甘い痛みに、その都度、ヒカル
は声をあげ、身を捩り、頭を振る。そしてそれと同時に、アキラの手の中の自分自身
がビクビクと反応しているのを感じる。ヒカルを包んでいる手の動きが、それが優しい
のか、それとも焦らされているのかわからない。
「とう…や…」
恥ずかしくてたまらない。こんな自分をどうにかして欲しい。
そう思って、ヒカルはアキラの名を呼んだ。
(14)
ヒカルの呼びかけにアキラがチラリと視線を送り、赤く膨らんだ乳首から顔を離す。
が、ヒカルが息をつく間もなく、アキラは手で擦り上げていたヒカルの裏側を根元
から舐め上げた。
フェラチオ、という言葉は知っている。
だが知識として知っているのと、実際にされるのとは大違いだ。
思いもよらなかった刺激にヒカルの身体が無意識にそれから逃げようとする、が、
腰を押え込まれていて、ほとんど動けない。
「やだっ…とう…、やめっ…」
アキラの頭を自分から離そうと手を伸ばし、髪を掴んだ。
顔を上げたアキラの上目遣いの視線と、見下ろすヒカルの視線が出会う。
「…やめて欲しいの?」
ヒカルの羞恥心は幻惑的なアキラの表情に飲み込まれる。
そして意識とは別に、下半身は続きを欲しがってひくついている。
視線を外さないまま、アキラの舌が両手で包み込んだヒカルの先端をペロリと舐めた。
「いや?」
アキラがヒカルの答を促す。続行か中止か。そんなものは決まっている。
小さく首を振ってヒカルが答える。
「いや…じゃない……」
ヒカルの返答にアキラが優しく微笑んで、視線を落とし、ヒカル自身を口に銜え込み、
ヒカルへの奉仕に集中する。
自分の股間でアキラの黒髪が、揺れる。膝をついた姿勢のアキラの白い背中から高く
上げられた腰が、口の動きに応じて微かに、揺れる。そしてヒカルを包み込んだ口の
中で、アキラの舌がヒカルを舐め上げる。
信じられない。
触れたくて触れたくてたまらなかったアキラの唇が、今、自分を銜え込んでいるなんて。
あの、アキラの唇が。艶やかで形の良い、美しい唇が、小さな口が、オレのモノを。
視覚と触覚と想像力が急速にヒカルを昂ぶらせ、限界へと導き、ヒカルはあっけなく
アキラの口の中に放った。
(15)
ゴクン、と喉を鳴らして、アキラがヒカルの放ったものを飲み込むのを、荒い息をつきながら、
ヒカルは見た。
「それ…、美味いの…?」
「ん…ちょっと苦い、かな?」
アキラは小首をかしげて、唇の横に漏れていたそれをペロリと舐めた。
紅い舌先に、ヒカルはゾクリとした。
「味見したい?」
そう言って、アキラはヒカルを見上げてにっと笑った。
その笑みに気圧されながらも、ヒカルはぶんぶんと頭を振った。
「そっか、やっぱり自分のはイヤ?…それじゃあ…ボクのを味見してみる…?」
アキラの言葉に、ヒカルは反射的に更に大きく首を振って、それから慌てて言った。
「ち、違うんだ、塔矢、おまえがイヤだってわけじゃなくて…」
「可愛いね、進藤。」
くすくす笑いながらアキラは顔をヒカルの顔に寄せてきた。
「…いつか、その内ね…」
耳元で囁いて、さらに舌先でヒカルの耳をくすぐった。
「ひゃぁん!」
声を上げてしまってから、その素っ頓狂な自分の声に、ヒカルは真っ赤になった。
だがアキラは気にかけた様子も無く、そのまま耳たぶを軽く噛んだ。
甘い痺れがヒカルの身体を駆け抜け、ヒカルはまた小さな声を上げた。
(16)
「…進藤、」
耳をくすぐる優しいささやき声に、おぼろげな意識の中でヒカルが答える。
「な…に?とうや…」
「いい?」
なにが?と聞き返そうとした時には既にヒカルの身体はうつ伏せにされていた。
アキラがヒカルのうなじに軽くキスする。そして背筋をすっと指でなぞると、ヒカルの
身体がビクンとはねた。
アキラの手がヒカルの白い双丘を愛しそうに撫で、それからチュッと音を立ててそこに
キスした。そしてそのまま双丘を揉みしだきながら背中の窪みに口付けし、ゆっくりと
唇と舌での愛撫を開始した。
アキラの舌が、ヒカルの背骨に沿って探るように動いていく。双丘の谷間を降りて
行こうとするその動きから、ヒカルにアキラの意図が伝わった。
「やめっ…やめろよ…っ、そんなとこっ…!」
ヒカルはアキラから逃れようとするが、アキラの手がしっかりとヒカルの腰を捉えて
放さない。そしてヒカルの抗議を無視して、そのまま舌先でを入口をくすぐった。
むず痒いような、くすぐったいような感触に、ヒカルが身体を震わせる。
突然、アキラの攻撃が止んだ。どうしたんだろうと頭を巡らすと、アキラは手を伸ば
して、いつのまにかベッドサイドに置かれていた見覚えの無い小ビンを手にとった。
そして中に入っていたとろりとしたものをその手に受けるのが、見えた。
それは何だ、と問う間もなく、アキラがヒカルの背を抑え、自分の足でヒカルの両足を
割り開き、固定する。そしてヒカルは後ろにヒヤリとしたものが塗り込められるのを感じ、
その感触に声にならない悲鳴をあげた。
「な、なに?今の………ひぁっ…」
そのままぬめる指がヒカルの中に侵入してきた。
「潤滑剤だよ。」
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