眩暈 13 - 16


(13)
下着を取るのに戸惑随分時間を要したヒカルだったが、覚悟を決めてそれすらも
脱ぎさって、股間を隠すように内股を擦り合わせながらベットに座ると、やはり
同じように裸になったアキラがその足を開くようにしながら圧し掛かってきて、
キスを求めた。口付けはやがて首筋、鎖骨、胸元へと降りていく。
乳首を舐められるとヒカルはくすぐったさに思わず笑い出してしまいアキラを憮然と
させた。やがてそれは臍を伝って下腹部へ達し、アキラはヒカルのまだ反応を見せない
ペニスの先端にチュッと音を立ててキスをする。ヒカルは驚きと恥ずかしさで顔を
真っ赤にしながら、足をばたつかせて抗議の意を示した。アキラは顔を上げてヒカルの顔を
覗き込みながら「良くなかったか?」と聞いてきたが、そう言う事ではない。
「そっ、そんなとこ舐めるなよ!汚ねーだろ!」
「汚くなんかないよ、さっきお風呂に入ったばかりだし。それに、進藤のだから」
「バッ…何言って……!?とーにーかーく、ダメ!ヤメロったらヤメロ!」
大声で喚くヒカルにアキラは肩を竦めながら「分かった」と言って、今度は手でそこへ
触れてきた。「これなら良いだろう?」と聞くアキラの問いかけに、ヒカルは答える事が
出来なかった。さっきのキスと今の手での刺激でヒカルのペニスは緩やかに勃起し始め、
少しづつ息を上げながらも歯を食いしばってその快感に耐えるのに精一杯だったからだ。


(14)
それをアキラは肯定と受け取り、ヒカルの股間に添えた手を無遠慮に動かし始めた。
竿を扱きながら亀頭を弄くられると、ヒカルは堪えきれずに嬌声を漏らす。
「アッ…アアッ…はぁ…ん、はぁ、うっ…ンッ…」
先程とは打って変わったヒカルの艶っぽい声に、アキラは自らも下半身が疼くのを抑えきれない。
「あっ……はぁ、塔矢、もぅ…出る…」
「いいよ、出しても。大丈夫…」
「ふぅっ…ンンッ……クッ…!」
腰をぶるりと震わせて、ヒカルはアキラの掌に射精した。アキラはそれをティッシュで拭うと、
ベットに沈み込むようにしながら体の力を抜き息を整えているヒカルの顔中にキスを降らせた。
その心地よさと射精後の倦怠感が相俟って、ヒカルはだんだんと眠くなってくる。
しかしアキラに太股をを抱え上げられて更に足を開かれると途端に眠気は飛んで、
ヒカルは素っ頓狂な声を上げてしまう。アキラは指いっぱいに先程の軟膏を取ると、
ヒカルのアヌスに触れて、そこへ塗りつけるように緩やかに撫でる。
むず痒いような感覚と自分でも滅多に触れる事の無い肛門への愛撫に、ヒカルは戸惑い羞恥した。
「やっ…やめろよ、塔矢…とうや!汚いよ、そんなとこ…ヤメテってばぁ…」
目を潤ませて懇願するヒカルに、アキラは更に熱を煽られる。
「ここで、するんだよ。進藤…我慢して」
「な、なに…?あっ、あっ、あっ…」
入り口を撫でまわしていた指が、侵入してくる。痛みよりも未知の感覚に気持ちが悪かった。


(15)
「う…うぅ…とっ…や、嫌だ…ヤだ、止めて…くれ…」
涙が零れてくる。アキラはヒカルの髪にキスをしながら、あやすように囁いた。
「セックス、するんだよ進藤。良いって言ったじゃないか、キミは」
「い、言った…けど、こんな…こんなの、本当に、オレ…わかんない…」
ヒカルの言い訳も聞かず、アキラは指を増やしていく。今度こそヒカルは痛みを感じて、
悲鳴を上げながら、泣き出してしまった。
「うああ!ヒッ…ぅええっ…と、とうや、ヤダ…止めてよ!ひっく……とうやぁ…」
ヒカルの泣き声さえも、アキラを喜ばせてしまう。自分はサディストなのかも知れないと自覚して、
アキラは自嘲したが、行為を止めようとはしなかった。指を更に奥へ進ませて、
ゆっくりと掻き混ぜるように動かすと、ヒカルは身悶えて首を振りいやいやをする。
そのしぐさに、アキラは「可愛いね、進藤」と独り言のように呟いた。
大量の軟膏の助けを借りて、指はヒカルの腸内をくちゅくちゅと音を立てながらスムーズに動き回る。
アキラの長い指先がヒカルの前立腺の近くを掠めると、途端にヒカルはびくりと体を震わせて、
腰をずり上げて逃げるようにした。それを引き戻しながら、アキラは笑みを浮かべて問い掛ける。
「ココが、いいの?」
「うあっ…ン……やめろよ…そこ、何か…ヘン……あぅ!う、ぅん…」
「ココが、進藤の良いところなんだ…」
何度もそこを弄くると、ヒカルの萎えていたペニスは立ち上がり始める。ヒカルは快感に目を
閉じて、引っ切り無しに口から喘ぎ声を漏らした。それを見たアキラはおもむろに指を引き抜いた。
「あっ!」
「進藤…いい?」
熱に浮かされた頭で何を聞かれたのか理解できなかったが、ヒカルはそのまま頷いてしまう。
肛門に怒張したアキラのペニスが宛がわれても、ヒカルはただ荒い息を繰り返すばかりだった。


(16)
しかしその直後、ヒカルは軽々しく頷いた事を後悔する事になった。
指とは比べ物にならない痛みにヒカルは再び大声で泣き出して、猛然と暴れ始めた。
必死にそれを抑えつけながらも、アキラは今まで経験した事のない、ヒカルの中の熱さと、
ペニスを締め付けられる快感に理性が吹き飛び、ヒカルの体を思いやる事も忘れ激しく腰を使い始めた。
「ああっ…しん、どう…進藤……ン、ウッ…すごく…気持ち、いい…」
泣きじゃくるヒカルの名を呼んで、アキラは喘ぎながら行為にのめり込んでいった。
「クッ…んぅ…うっ、ああっ!」
「あっ…アァ…はぁ、はぁ……はぁ…」
奥に熱いものが広がっていく感触に、ヒカルはやっと終わったのか、と体から力を抜いた。
指で奥を刺激されたときに立ち上がりかけていたペニスは、挿入時の激痛ですでに萎えて
しまっていたので、ヒカルは早くこの時間が終わってくれる事を望んでいた。
しかし、いつまで経ってもアキラはヒカルから出ていこうとしない。荒く息をついたまま、
ヒカルを凝視していたが、やがて大きく息をつくと再び腰を動かし始めた。
「あっ、なに…塔矢!ちょ…待って、もう…マジ勘弁…って…やだ、ン―――!」
「ゴメン、進藤…でも、ボク…んっ、まだ…もうちょっと…」
キスをしてヒカルの反抗を封じる。そうして更に動きを早めていくアキラに、ヒカルの言葉は
届かなかった。普段は大人びているアキラも、やはり未熟な少年なのだった。始めて経験する
快楽に溺れ、セックスと言う行為にすっかり没頭してしまった。
その後、何度かヒカルの中に射精して気が済んだアキラが体を離した時にはすでにヒカルは
失神していた。後始末をして、寝息を立て始めたヒカルの体を抱き締めながら、
アキラは嬉しそうに微笑んだ。ヒカルの耳元で、まるで言い聞かせるように呟く。
「これで、キミはボクのものだ。ボクだけのものだ…」



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