平安幻想異聞録-異聞- 138


(138)
楽が奏し終わって、ヒカルが中央より下がる。
空気が止まってしまったようになっていた会場に、活気が戻る。
元いた座間の後ろの場所まで戻るには、参列する貴族達の前を
横切らなければならなかった。
幾人かの公達は、何か気まずそうに、歩くヒカルから目をそらした。
(ちぇっ、悪かったな下手くそで!)
自分で望んで舞ったわけではないが、せっかくの宴を白けさせてしまったの
ではないだろうか?
自分でわかってるだけでも5箇所は間違えてる。気付かないで振りを違えてる
所なんてきっと数えきれないだろう。
菅原の前も通った。その菅原にとなりの公卿が何か耳打ちしている。
(勝手に物笑いの種にしてろよ!)
他にも、幾曲か、有志によって舞いが舞われ、宴も終わりに近づき、帝が、
上手い歌を作った者、見事な菊を持ってきた者に、褒美として禄を与えはじめる。
その録となる錦の布を肩にかけ、誇らしげに立つ若い公達を見ながら、ヒカルは
そっと座間の後ろから退出した。
検非違使は現代で言う警官、裁判官の役を担う。その、建前でも絶対公平の
立場にある検非違使が、誰かの元について公の儀式に参加するなど、ほんの
少しの例外をのぞいては禁じられている(これは検非違使庁に入ったばかりの頃は、
耳にタコができるほど聞かされた)。また、その少しの例外においても、必ず
給録の前には席を外さなくてはならないというのは、儀式書にきっちりと
明文化されたされた決まりごとだ。いくら座間でも、それを帝の前で堂々と
破ることはすまい。
そっと席を外すヒカルに座間は気付いたようだったが、呼び止めはしなかった。



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