トーヤアキラの一日 14


(14)
その日も、いつもの様に、ヒカルのその週の対局を巡って言い争いになった。それに対して
アキラ贔屓のお年寄りが口を挟んだ事がきっかけとなって、ヒカルは出て行ってしまった。
ヒカルの、北斗杯代表選手になるまでは来ない、と言う言葉以上にアキラに衝撃を与えたのは
『神の一手はオレが極めるんだ』と言うヒカルの一言だった。
小さい頃から「神の一手」を極めるために努力を惜しまず精進してきたアキラである。
棋士なら誰でもが抱く願いである事は承知していたつもりだが、ヒカルからその言葉を
聞いた時に、全身に鳥肌が立つのを感じた。何処かで、「自分を追ってくる存在」としてしか
その頃のヒカルを見ていなかったのかも知れない。そのヒカルが、自分を通り越して、
すでに「神の一手」を目指している事に、少なからずショックを受けたのだ。
自分にとってヒカルの存在は一体何なのだろうか?ヒカルにとって自分の存在は何か意味が
あるのだろうか?前に進むヒカルの目の中に自分は存在しているのだろうか?4月になったら、
また今までの様に自分の所に碁を打ちに来てくれるだろうか?

この日以降、アキラは暇があるとヒカルの事を考えている自分に気付いた。考えても仕方が
無いのに考えてしまう。出会った頃の事、中学囲碁大会で見た美しい一局の事、インターネット
カフェまで探しに行った時の事、ヒカルが『碁をやめない』と言いに来た時の事・・・・・。
ヒカルの顔を思い浮かべると、今までに感じた事の無い胸の高鳴りを抑える事が出来ない。
そして、「進藤に会いたい」・・・・と、激しく思っている自分に驚く。このもやもやした感情は
一体何だろうか?切なくて苦しくて自分の心をコントロールする事が出来ない。これは一体?

そして、ある瞬間に、それが「恋愛感情」である事にアキラは気付いた。



TOPページ先頭 表示数を保持: ■

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル