○○アタリ道場○○ 14
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──母さ〜ああぁ〜あぁんん、ゴメンよぉおっ!
オレ、忙しくて なかなか故郷の漁村に帰れないでいて。
でっ、でも、オレは母さんのことだって、故郷の海だって 一日とて
忘れたことはないよっ。
父さんが酔っ払って、海に落ちたらしいという知らせを聞いた村のみんな
が総出で捜索してくれたことあったね。
だが実は父さん、隣の山田さん家の鶏小屋の中で寝ていたんだよね。
あの時、母さんは怒り狂ってバックドロップを父さんに数発ぶち込んで
いたね。
あああ、昨日のように鮮やかに思い出せるよ。
・・・って、違うだろおおぅぉおっ!!!
兄貴は、お袋おかっぱの醸し出すムードに危うく飲まれそうになりかけた
スレスレで、正気に戻った。
──あっ、危ないところだったぁあ。
お袋おかっぱ・・・、侮り難しっ!!
「緒方さん、なに独りでブツブツ言ってるんですか?
ボタンつけ終わりましたよ」
おかっぱは、綺麗に折り畳んだスーツの上着を兄貴に渡す。
「すっ、すまんな。ありがとうアキラくん」
「いいえ、どういたしまして。緒方さん、もう食事終わったようですので
片付けますね」
おかっぱは、そう言いながら お盆に食器を乗せて立ち上がった。
が、その途端、客用の高価な茶碗を床に落としてしまい、割ってしまった。
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