弄ばれたい御衣黄桜下の翻弄覗き夜話 14
(14)
なんで、気付かなかったんだ。こんな簡単な事に。
女でさえそうなのに、男がこんな風に後ろに入れられて感じるなんて、普通では
絶対にない。
つまり――進藤ヒカルは、男に抱かれるのが初めてではないのだ。
門脇は、自分の下にぐったりと横たわる少年を見た。
名前を呼ぶと、目を開けてこちらをみた。
「進藤、おまえ。誰か他の男と寝たことがあるのか?」
ヒカルは、門脇を見返したまま黙っていた。
その沈黙が、何よりも雄弁に事実を物語っていた。
門脇の知らない場所で、この少年に、夜に羽根を広げて男を迎える蝶に変わること
を、覚えさせた奴がいるのだ。
「誰だよ」
怒りに似た感情が、胸を焦がした。
「誰に抱かれたんだよ」
途端に、進藤ヒカルの瞳にさっきまで宿されていた熱が、嘘のように覚めた。
「門脇さんには、関係ない」
頭に血が上った。
体の中に猛る感情が、ヒカルの中に留まったままの門脇の肉棒を、再び勃起させ
ていた。
手の平で、まるで絞め殺したいみたいに、ヒカルの首を掴んでいた。
「いいさ。お前の体に直接聞いてやるよ」
|