しじま 14


(14)
入り口付近で何かがうごめいている。
それが進藤の舌だと気付いて、ボクは血の気が引くのを感じた。
「やめろ! 進藤っ」
「そう言えばさ、オレもおまえに初めてここ舐められたとき、すごい恥ずかしかったんだ」
まさか同じ思いをボクにさせることが目的か。
悪いが、ボクはこんな羞恥心には耐えられない。ここは蹴り飛ばしてでも……。
「逃げるなよ、塔矢。オレも逃げないから」
静かでおだやかな声が、ボクの抵抗する気持ちを奪った。
ためらいがちに、少しずつ指が増やされる。ボクのそこが押し出そうと力を入れている。
けど進藤はそれに逆らって、なかを広げようとしている。
「ここらへんだと思うんだけど……おまえ、どこが感じる?」
「そんなの知るもんか。だいたいボクはしたことなんか……」
言いかけて、和谷の顔がはっきりと思い浮かんだ。
そうだ、ボクは初めてじゃないんだ。忘れていたけど、ボクは和谷に抱かれたんだ。
蛇口から流れる水の音が聞こえた気がした。
吐きそうだ。
「塔矢、大丈夫だから、もっと力を抜けよ。このままじゃオレ、痛い思いをさせちゃう」
進藤は優しい。だけど今はそれがつらい。
後悔がうずまく。どうしてボクは和谷なんかとしたんだ。
和谷としていなければ、ボクが初めて抱かれるのは進藤だったのに。
――――だけど、あれはやっぱり必要なことだった。
いろんなことがからみあって、今があるんだ。
「もっと手前かなあ」
根元まで入れていた指を少し引き抜いて、違うところをこすった。そのとたんに、ボクは
つかんでいた進藤の腕に爪を食い込ませてしまった。
皮膚をつきやぶり、血がにじみでていたけど、それよりもボクは痛みとは違う、奇妙な感覚
に気をとられた。
「ここ?」
進藤もボクの反応に気付いて、指先で同じところをつついた。



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