失着点・展界編 14
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「ああ、居たんだ、和…うっわあっ…!」
和谷の顔を見てホッとしたのもつかの間、アパートの外の廊下の明かりに
和谷の裸体が浮かび上がって伊角は赤くなって驚き叫んだ。
その伊角の腕を引っ張って部屋の中に引き込み和谷はドアを閉めた。
「お、おお、おい、わ、和谷、おまっ…」
焦りまくっている伊角をさらに部屋に押しやり、明かりをつけた。
「…!!」
ヒカルは体をこわばらせた。体を隠す物を探す間がなかった。
最初伊角は、そこで見た光景をうまく把握できないようだった。
畳の上に全裸で胎児のように体を縮こまらせて横たわっている進藤。
その腰の下周辺の畳みには赤黒い染みが広がり、その染みは進藤の白い内股に
つながっている。
「う…わ…あっ!?し、進藤…?」
ストンッ、と伊角は尻餅をついた。顔面が蒼白になっていく。
和谷は玄関脇の台所でペットボトルの飲み物を飲んでいたが、部屋の中を
覗き込むように顔を伸ばしてヒカルに向かって言った。
「どうする、進藤。伊角さんにオレ達の事が見られちゃったぜ。塔矢との
時みたいに、伊角さんを喰わえ込んで口封じするかい?」
体を肉体的に刺し貫かれた以上に、ヒカルの胸に和谷の言葉が突き刺ささり
鮮血が吹き出すようだった。
「…ハハッ!」
和谷は誰かを嘲るように笑うとペットボトルをもう一度口にした。
ガッと鈍い音が響いて和谷が台所の流しに背中をぶつけて倒れこんだ。
立ち上がった伊角が和谷を殴りつけたのだ。
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