月明星稀 14
(14)
「アキラ……!」
彼の名を呼びながら、ヒカルはそのままアキラに抱きついた。不意打ちをかけられて、一瞬よろめき
かけたアキラは、それでも何とか体勢を整えてヒカルを受け止める。
「……ヒカル?」
「俺、おまえを好きだって、言った。」
アキラにしがみ付いたまま、ヒカルは続ける。
「言ったじゃないか、好きだって。何度も。」
ぎゅっと彼の衣を掴んで、彼の肩に顔を埋めたまま、ヒカルは言い募る。
「……あの時だって。
俺は好きだって言ったじゃないか。
…好きだから、だからおまえが欲しいって。
言われて怒ったのはおまえだ。
聞いてないのはおまえじゃないか。」
そしてばっと顔を上げて、アキラの顔を正面から見た。薄茶色の瞳の縁に、今にも零れ落ちんばかり
の涙が光って、アキラは返す言葉もなく、小さく首を振った。
「俺、何度も言った。
おまえが好きだって。おまえと一緒にいたいって。
その度に、おまえは駄目だって。
俺が何を言っても、いっつもおまえは駄目だって、そればっかり。
それなのにおまえが俺を好きだなんて…おまえが好きなのが俺だなんて、
思うわけ、無いじゃないか。」
「それは……それは、だって、君が無茶な事ばかり言うから。」
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