夜風にのせて 〜惜別〜 14


(14)

十四
数ヶ月後、明の自宅にあの駅前の写真館から連絡がきた。保管期間が過ぎると処分してし
まうので、写真を取りにくるようにと催促の連絡だった。
明はひかると別れてからそんなにも時間が経っていたのかと気付く。
初めはひかるに裏切られたという恨みや怒りがあったが、どんなに時が過ぎても、好きで
ある気持ちに変わりはなかった。だが写真を見れるほどの余裕はない。
明はしばらく考えこんだ。いつまでも未練がましく想い続けながらひかるの写真を持ち続
けるより、いっそ他人の手によって処分された方がいいのではないかと思ったからだ。
けれどもひかるを見たい気持ちが次第に強くなり、明は急いで写真館へと向かった。



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