初めての体験+Aside 14 - 15


(14)
 社はその場を立ち去ろうとしたが、足を縫い止められたように動けなかった。
 ヒカルの甘い声が、妖艶な姿態が、社の目を釘付けにした。
「や…やぁだ…や…」
すすり泣く声が社の耳を打つ。だが、その声には艶が含まれていて、嫌がっているというよりも
快感に咽び泣いているといった方が正しい。
―――――進藤…感じとるんや…
 アキラが腰を揺する度に、ヒカルが小さな悲鳴を上げた。
「あ、あ、ハァ…アア…」
ヒカルは声を堪えることが出来なくなった。足が震え、立っていることも辛いようだった。

 「ん…あ…あぁ…」
ヒカルはシンクの中に、倒れ込んだ。下半身は未だアキラと繋がったままで、腰をしっかりと
支えられていた。
「はぁ…ふぅ…」
ヒカルは荒い息を吐きながら、身体をビクビクと痙攣させた。

 アキラは息を吐くと、一際深くヒカルを貫いた。ヒカルの胸を抱き、背中に覆い被さる。
それにあわせるように二人は身体を震わせた。
 暫くして、アキラがゆっくりと身体を起こした。そして、社の方へ視線を移し、口元に
不敵な笑みを浮かべた。


(15)
 イ ・ ジ ・ メ―――――――
この三文字が社の頭に浮かんだ。コレは明らかに自分に対する嫌がらせである。ヒカルへの
社の想いを知っていながら、こういうことを平気でやるとは…。
『オレがおるん知っとったんや…』
社は、急いでその場を離れた。居間に戻って力無く座り込む。情けないことに涙が出てきた。
悔しかった。ヒカルはやっぱりアキラのものなのだ。どうあがいても勝ち目はないのだろうか?
 だが、自分の分身は、先程のヒカルの嬌態に煽られて哀しいほど自己主張をしている。
『あ―――どないしよ…コレ…』
このままでは、何も考えられない。取り敢えず抜いてこよう。
 社がトイレへ行こうと立ち上がったとき、突然後ろから突き飛ばされた。
「…痛!」
社が振り仰いだその視線の先に、アキラが立っていた。
「と…塔矢…」
声が震えた。
 アキラは無言で社の傍らに膝をつき、徐に社の股間を握った。
「あ…!」
「ずいぶん、元気じゃないか?」
アキラはそう言いながら、社のズボンを緩め始めた。
「や…やめ…!」
社は身体を捩った。が、アキラに耳元に息を吹きかけられ、身体がピクリと震えた。
「こうなることがわかっていて、ここに来たんだろう?」
確かにその通りだが、実際そうなって欲しいと思っていたわけじゃない。ただ、ただ、
ヒカルに逢いたかったのだ。
「進藤には試せないオモチャがいろいろあるんだ…来てくれて嬉しいよ…」
背筋が凍った。そうや!進藤!
「し、進藤…進藤は…?」
「今、浴室。あちこち汚れちゃったからね。」
知ってるだろ?とアキラは言った。まさにピンチ!絶体絶命や〜〜〜〜! 


(16)32-697 :初めての体験+Aside ◆IMTfjwVpA2 sage :02/12/04 22:47 ID:jT3FIeRz
 その時―――――
「何やってるんだ?」
髪から雫を滴らせ、ヒカルが居間に入ってきた。社にとってまさに天の助け。
『やっぱり、天使や〜』
社は感動に咽び泣いた。心の中で…。
「なになに?二人とも。プロレス?」
アキラもヒカルがこんなに早く出てくるとは、予想していなかったらしい。呆然としている。
社はその一瞬の隙をついて、トイレに駆け込んだ。先程の余韻が残っているし、何より
風呂上がりのヒカルは色っぽかった。上気した頬、首筋にまとわりつく濡れた髪…。
「ああ…進藤…」
ヒカルの名前を呼びながら、自分を慰める。
―――――そういうたら、ここに来る前に手でしてもろたなあ。
あの柔らかい手の感触を思い出した。
「ハァ…ああ…」
手の中に吐き出されたものを見て自己嫌悪に陥った。



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