初めての体験 143


(143)
 ヒカルが漸く自宅に到着したのは、空が白み始めた頃だった。両親は当然、玄関でヒカルの
帰りを今か今かと待ちかまえていた。
「…………ただいま……」
小さな声で、帰宅を告げると同時に、雷が頭上に落ちてきた。
 二時間にも及ぶお説教をヒカルは神妙に聞いていた。
途中何度か、「遅くなった理由を言いなさい!」と詰め寄られたが、ヒカルは口を噤んだままだった。
「言わないのなら、昨日言ったとおり、門限は八時にしますからね!」
母が最後通牒を突きつけた。それでもヒカルは黙っていた。
 もしも本当の事を言ったら、門限八時どころか、ヒカルは金庫の中にしまわれて、一生
外に出してもらえないだろう。
『男に攫われて、犯されそうになったなんて絶対言えネエ…………』
ヒカルはひたすら、嵐が通り過ぎるのを待った。



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