平安幻想異聞録-異聞- 143 - 144


(143)
座間邸で、自分に与えられた部屋から出ることもかなわず、ひとり時間を
持て余すヒカルの元に、その夜も座間と菅原は訪れた。
あの甘ったるい匂いを放つ香炉が持ち込まれ、嫌がるのを無理矢理押さえ
つけられ、薬を飲まされる。
それでも、二日前に朦朧とした意識の中で飲まされたそれより、はるかに量は
少なかった。
「そなたのああも良い顔を、他のやつらに見せるのは勿体のうてのう」
ヒカルは、薬を流し込むために強引に含まされた白湯が口元を濡らしているのを
拭って、座間を睨みつけた。座間はそれを受け流して、薬が効くのを待つつもり
なのか、立ち上がると部屋から出ていってしまう。菅原も後に続く。
取り残されたヒカルはだから、ひとりでその時を待った。
だんだんと視界がぼやけて、目の焦点が結びにくくなる。
しばらくして、御簾が上げられた。
冷たい夜風とともに入ってきたのは、座間達ではなかった。
黒い束帯に身を包んだ公卿が三人。
「なに……?」
ヒカルは、香が見せる幻なのかと、頭を振った。
だが、公卿のひとりがヒカルに近寄って、その肩を抱き、そのヒカルの頭の
動きを、止めるように抱き込んだ。
抱かれた場所から、嫌な感じのしびれと熱が広がった。あの香と薬のせいだ。
振りほどこうと上げた手を、もうひとりが掴んで止めた。
「おぉ、愛いのう。そう怯えんでも、今宵はやさしく気持ち良くしてやろうぞな」
「うむ。近くで見れば、また、いとけない様がたまらんのう」
「あんたたち…誰?」
ヒカルの問いに三人目の公卿が答えた。
「座間殿から聞いておらんのか。今宵、そなたは、わしらの相手をするのじゃ。固く
 なることはない。そなたが大人しければ、できるだけ優しくしてやるでのう」
「そうじゃ、この度の、議事で、座間殿の意見に肩入れする見返りに、わしらは、
 そなたを一晩自由にする権利を得たのじゃ」
ヒカルは怒りに肩を震わせた。


(144)
座間の政治取引の材料として、自分はこの三人の男達に売られたのだ。
そういえば、三人のうち一人には見覚えがある。昼間、座間と話していた男だ。
そうとわかって、黙ってじっとしているほど、ヒカルは人間が出来ているわけ
ではない。
朦朧とする意識にむち打つ思いで、必死に肩に回された男の腕の中から逃れた。
勢いで近くにあった灯明台が倒れる。
油がこぼれて、僅かに炎が広がりかけるのを、公卿のひとりは、近くにあった
円座を使ってあっさり消した。部屋の暗さが増した。暗さになれない目のせいで
自分の位置も、男達の位置も判らなくなったところを、公卿のうちの誰かに
腕をつかまれた。
「わしらが怖いか。そう怖がらんでもいいわい。愛いのう、愛いのう」
3人の公達が、ヒカルの体にむしゃぶりついた。
暴れるヒカルの体を床に押さえつけ、我先にその服を脱がせにかかる。
ひとりが、まだ上の衣も脱がせ切らぬままのヒカルの胸の乳首に、性急に
歯をたてた。
「ああっ!」
薬と香に侵されたヒカルの体はそれを強い快楽としてうけとった。
違う男が太ももにすがりつき、敏感なその内側に口付け愛撫する。
振りほどこうとするヒカルの足をもうひとりの男がおさえ、その男は、
そのままヒカルの柔らかな脇腹にかぶりついた。
「あ……だめ、…だめ…ぇ…」
それは、男達を押しとどめようとする「駄目」ではなかった。薬のせいで
過敏になり、男達の手管のままに快楽の沼に落ちていこうとする自分の体に
対する「駄目」であった。
だが、ここまで進んでしまって、今のヒカルの体がそのまま満足する筈もなく、
意に反して皮膚という皮膚が与えられる快楽を求めてざわめきだしていた。
「や……あ……あ……」
3人の男達によって体中から与えられる快感に、体が喜ぶのが止められない。
「愛いのう、愛いのう」
男達が、ヒカルの体中に手と舌を這わせる。
その舌のひとつが、ヒカルの秘門に触れた。
じん、とヒカルの体をしびれが駆け登った。
男が卑猥な音をたてて、そこを舌でほぐしていく。
ヒカルは声が止められない。



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