平安幻想異聞録-異聞- 149 - 150


(149)
ヒカルが怯えたように太ももを擦りあわせ、足を閉じようとする。
その時、男がそれに気付いた。
「おお、このような所にもったいない」
それは、ヒカルの左内股に、ミミズ腫れのように残る、あの「印」だった。
熱を持つその忌まわしい傷跡を指先でたどられて、ヒカルが嫌がってうめく。
「今度は、そちもちゃんと良い心地にしてやるでのう。怖がるでない」
(いったいオレはこんな所でなにをやっているんだろう)
ヒカルは、腿の間に割り入ってこようとする男の細いが骨張った感触を意識の外に
追いだそうとしながら朦朧と考える。
今思えば、ヒカルに薬を飲ませに来たときの座間達の態度が少しいつもと違っていた。
それも、この状況を考えれば合点がいった。
「昨日の菊の宴での舞い、見事であった。まこと女子でもなかなか見られる艶なる仕草、
 忘れようとて忘れられぬわ」
「うむ、儂も昨日の夢にまで、そなたが出てきたわい。それで、座間殿に頼み込ん
 でみたのじゃ。議題での評決で座間殿の味方をする話と供にのう」
「さすが、座間殿。話しがわかっておられるわい」
ヒカルが、頬を引きつらせて、唇を噛んだ。その時、男の手が、ついにヒカルの
そこに届いたのだ。無残に散らされてもなお、ひそやかに、その奥津城に息づく
けなげなる菊の花。その回りでしばらく指を遊ばしてから、ネッチリとした音を
させて、爪先からその菊の座に沈めた。
そこから先は早かった。男の指が、先に注ぎ込まれた精液に満たされたそこを
淫猥に掻き回し、なぶり、関節を使って、ヒカルの一番弱い所を攻めてくる。
ヒカルの肉壁の何処が最も猥らな責めに弱いのか、男はすでに、先のまぐわいで
承知の上だ。指の二本三本など使わなくとも、その場所さえ判ってしまえば、
ヒカルを体を焼く快楽のるつぼに堕としてしまうことなど、簡単だった。
男のたった一本の指の動きに、ヒカルは翻弄され、自由を奪われる。下肢から
せり上ってくる熱に耐えられずに、声を上げ、すすり泣く。
それはヒカルの闇だった。


(150)
ヒカルの体はこの上なく、肉の快楽に弱い。その弱点を知られてしまえば、
こうして誰にでも、いいようにその体を操られ、心の中に巣食う闇を
引き出されてしまう。そして、支配されるのだ。
「ここのこのほぐれ具合、普段から座間殿にも、ずいぶん可愛がられて
 いるようじゃのう」
「座間殿もお人が悪い。このような楽しみを隠しておくなど」
しかも、ヒカルはこの座間邸での数日間で、その自らの中の闇に身を
投じることに徐々にだが、自分でも気付かぬうちに、抵抗を感じなくなってきて
いた。その方が楽だから。心で意地を張っても、体が先に音をあげる。
香や薬のせいでなく。現に、薬の効力も切れ、香の香りが秋の夜風に掃き
寄せられても、こうして先の交わりの熱の名残を、指でたぐり寄せられただけで、
よがり、まぶたを涙の露に濡らす。
「もう…や……だ……」
たった一本の指に中を探られただけにもかかわらず、指先まで火照りに
紅く染めて、ヒカルが嗚咽をもらす。
「そうかそうか、此度はそなたの気持ちのいいようにと思ったが、少々
 度が過ぎたかいのう?」
ヒカルの肉ひだを玩んでいた公卿が、うつぶせのままのヒカルを裏返して
仰向けにする。
秘門への指攻めに骨抜きにされたヒカルの体は、今度は楽に言いなりになった。
公卿は、単衣を着たままのヒカルの腰を丁度いい角度に持ち上げて浮かすと、
そこに自分の肉槍を突き入れた。
悲鳴とともに、ヒカルの背に痙攣が走った。
己の肉鞘に、熱い剛直が侵入しただけで、ヒカルは達してしまったのだ。
腹下程までまくり上げられた単衣の裾を、ヒカルの吐きだしたものが汚した。
かまわずに公卿が腰を使いだす。
刺激されて、すぐにヒカルのモノは起ち上がり始めた。
快楽に喘ぎながら、ヒカルが公卿の背に爪を立てた。



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