無題 第2部 15


(15)
若手プロが集まるイベントに駆り出されたアキラはそこで久しぶりにヒカルに会うことになった。
そのイベントにもできれば行きたくはなかったが、若手の中でも今やトップの位置にいるアキラ
を抜きにしては始まらない、と言われ、断りきれなかった。
参加棋士の中に進藤ヒカルの名を聞いた時、アキラは胸がざわつくのを感じた。もう随分と彼に
は会っていないような気がする。会いたいような、会いたくないような、どちらともつかない気持ち
が、少しだけアキラを苛つかせた。彼もまた、アキラにとって"わからない"人間の一人だった。
当日、早めに会場につき、関係者と他愛のない話をしている時に、ヒカルはやってきた。
ヒカルは多分院生仲間だったと思われる他の棋士数人と、うるさいくらいに喋りながら入ってきた。
入口は随分遠いのに、賑やかなヒカルの声に、アキラの身体が先に反応して振り向いてしまい、
後からその声の主に気付いて、なぜだか慌てて元に戻った。
「おや、進藤プロ達ですな。相変わらず賑やかだ。ああしてると、やんちゃな中学生にしか見え
ないのに、あれで大した碁を打つからね、彼は。塔矢先生も負けてられないんじゃないですか?」
そんな風に話し掛けてくる相手に、アキラは上の空で返事をした。



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