浴衣 15
(15)
えっ! ――と、驚く間もなく、熱い湯をまとった指が僕の中に入ってきた。
「進藤!」
「痛い?」
左手は、僕の器官をゆっくりと扱きはじめている。潜り込んだ指は、躊躇いもなく例の場所を探り当てる。
「ここって、精子を作るとこと隣合わせなんだよ」
だからなんだよ! と、怒鳴りつけたかったけれど、だらしない僕の身体は敏感に反応していて、下手に口を開けばどんな声が溢れ出すかわからない状況だった。
まだ身体の中に色濃く残っていた射精の余韻が、いっせいに騒ぎ出す。
覚えたばかりの官能が恐しくて、僕は逃げるために腰を浮かしていた。だけど、進藤がそれを許すはずもなく、かえって僕は彼の太股の上に座る形になってしまった。
それは進藤の両手に、自由を与えたようなものだった。
「しん……どっ…、お湯が……」
帰ってくる答は、背中で聞く早鐘のような鼓動と、うなじにかかる荒い呼吸だ。
「ヒカルだろ?」
もう、言葉にならない。
「ふぅ…うっ……あぁ……」
進藤の指が、執拗に僕を犯す。
前で動いていた左手は、いまは一種の戒めだった。僕の絶項が近づいたのを感じるたびに、親指と人差し指は環を作り、痛みとともにそれを堰き止める。
風呂場に充満するのは、白い湯気だけではなくなっていた。僕の甘い喘ぎが反響し、それさえもが僕を耳から犯す。脳髄を蕩けさせる。
やがて、進藤がささやいた。
「いい?」
それがどちらの意味で尋ねられたのかはわからなかったけれど、僕は必死になってうなずいていた。
お湯の浮力を借りて、進藤はの右腕一本で、僕の身体を軽々と扱う。
少し身体が浮いた。
と、思う間もなく降ろされる。
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