sai包囲網・中一の夏編 15
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「やっ・・・!?」
もし、両手が自由に使えたら、すぐにでも覆ってしまいたいだろう。
隠しきれない高ぶりに、進藤の爪先から耳たぶまでが真っ赤に染まる。
いっそ潔いくらいの顕著な反応に、思わず笑ってしまった。
「進藤は敏感だね」
「おま、お前が変なとこ、舐めるからだろ!」
「じゃあ、今度は他のところにしようか?」
「えっ?」
抵抗する暇も与えず、残っていた下着を膝まで引っ張り下ろす。薄く
残された脚の付け根の水着の痕。まだ産毛の延長のような茂み。そこを
指一本で辿りながら、先端を濡らし始めている進藤のものを口に銜えた。
「塔矢!」
驚愕、非難、苦痛。その全てが混じったような甲高い悲鳴。こんなに
簡単に他人のものを触れることができるとは思っていなかった。いや、
他人じゃない。進藤の心も身体も、全てボクのものだ。どこかにそんな
意識があって、ほとんど抵抗なく口にすることができたのかも知れない。
「やだ、塔矢!」
他人に性的な施しをした経験はないけれど、ボクは自分でも耳年増な
自覚はあった。幼い頃から家に出入りする門下生たちが、酒の席やちょ
っとした冗談に紛れて零す、淫靡な会話。そのときは意味すら分からな
かった内容が、後で霧が晴れるように理解できて思わず赤くなったこと
もあった。そして、ボク自身が性的な欲望の対象として見られていたの
に気がついたのも、ずっと後だった。父や門下生の筆頭である緒方さん
が睨みを効かせてくれなかったら、どうなっていたか。芦原さんが宴会
の度に、まるでボクの保護者のように付き添っていた意味も、今なら分
かる。
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