スノウ・ライト 15


(15)
お城ではお后様がいつもの質問を鏡の精にしていました。
お后様は今度こそ自分がヒロインだと言ってもらえると思っていました。
しかし正直な鏡の精は偽ることなく言いました。
『それはヒカル姫です。ますます美しくなり、七人の小人の心を掻き乱すヒカル姫こそが
まさにこの物語のヒロインに相応しいでしょう。ハァハァ! ハァハァ!』
「何よそれ! 死んでいないばかりか美しくなっているですって? 冗談じゃないわ!
イスミは何をしてたの? あんたも鏡のクセにハァハァしてんじゃないわよ!」
お后様はイスミを呼びましたが、あいにくイスミは精神修養の旅に出ていました。
「人に頼むんじゃなかったわ。わたしが行くわ」
そう言うと、碁笥の中から碁石を一掴みとり、それを鍋で茹ではじめました。
ぐつぐつと煮える鍋のなかで、白と黒の碁石が浮いては沈んでいきます。
鍋を見つめるお后様の顔は、もはや魔女という言葉がお似合いでありました。



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